アミロイド腎症あみろいどじんしょう
最終編集日:2022/4/7
概要
アミロイドという繊維状のたんぱく質が全身の臓器に沈着することで、臓器が正常に働かなくなり、内臓に障害が出る病気をアミロイドーシスといいます。
なかでも腎臓はアミロイドたんぱくがつきやすい臓器で、腎臓に沈着し組織の障害を起こすことで腎機能が低下する病気をアミロイド腎症といいます。とくに、腎臓の糸球体に沈着した場合、尿たんぱくやネフローゼ症候群の原因ともなり、進行すると、慢性腎不全となることもあります。
原因
遺伝によるものや、潰瘍性大腸炎、関節リウマチなどの慢性的炎症の病気につづいて発症する場合があることがわかっています。
また、アミロイドは加齢とともに体内に増えることから、加齢自体が原因ともいわれています。
症状
おもな症状としては、全身のだるさ、からだのむくみ、貧血、体重が減る、尿量が減る、動悸、ふらつき、下痢、舌が大きくなる巨舌などがあります。
腎臓の糸球体に沈着した場合は、ネフローゼ症候群(血液中にあるべきたんぱくが多量に尿にもれ、低たんぱく血症がひき起こされる状態)を発症することが多く、むくみがみられます。症状が進むと、慢性腎不全となります。
検査・診断
症状や尿検査でたんぱく尿がみられ、アミロイド腎症が疑われた場合には、腎生検をします。腎生検では背中から腎臓に特殊な針を刺して組織の一部をとります。その組織を顕微鏡で観察してアミロイドがついているかいないか、病変がないかを調べます。そのうえで、特殊な染色を行い、陽性であればアミロイド腎症と診断されます。
また、原因となる病気がないかどうか、必要に応じて血液検査、骨髄検査、遺伝子検査などを行う場合があります。
治療
腎臓についたアミロイドを取り除くことはむずかしく、現在のところは腎臓機能の低下をとめる根治治療はありません。症状をやわらげる治療(対症療法)が中心となります。
ネフローゼ症候群の症状が出ている場合には、塩分や水分の制限が必要になります。また、腎機能が低下して、慢性腎不全になった場合には、透析や腎臓移植など腎臓の機能を補う治療がされます。
アミロイド腎症になってしまうとその後の見通しは厳しいことも少なくありませんが、早期に発見し、原因となる病気を治療すれば、改善が期待できるケースもあります。
セルフケア
予防
からだのむくみなどの症状がつづいてアミロイド腎症が心配な場合は、膠原病内科や腎臓内科を受診しましょう。
監修
しみず巴クリニック 腎臓内科
吉田顕子
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