尿毒症にょうどくしょう
最終編集日:2023/3/28
概要
慢性腎臓病(CKD)が進行して腎不全の末期となり、適切な管理がなされないと、体内の老廃物や毒素、水分が排出できなくなり、さまざまな症状が現れます。これを尿毒症と呼んでいます。
原因
ほとんどは、CKDの進行で腎臓の機能が正常な状態の15%未満になった「末期腎不全」が原因で起こります。そのほか、vero(ベロ)毒素を産生する大腸菌O-157による腸管出血性大腸炎が原因で急性腎不全をひき起こす「溶血性尿毒症症候群」や、心不全や尿路閉塞などで急性腎不全を起こした場合に、尿毒症を現すことがあります。
症状
老廃物が排出されないことで、吐き気、頭痛、食欲不振、倦怠感、かゆみ、イライラ・怒りっぽい、不眠などが起こったり、水分が排出されないことで、むくみ、動悸、息切れ、尿量の減少、高血圧などがみられます。また、腎臓の造血ホルモンを産生する機能も低下するため、貧血が現れます。
さらに進行すると、心機能の低下(心不全)、肺水腫、けいれん、血が止まりにくいなど、全身状態が悪化して、意識障害が起こることもあります。
検査・診断
血液検査や尿検査を行い、腎機能の低下の程度をみます。
とくに血液中の尿素窒素量(BUN、UN)が80〜100mg/dL以上の場合に、尿毒症を疑います(基準値は8~20mg/dL〈日本臨床検査医学会〉)。
そのほか、クレアチニン(Cr)が8mg/dL以上(あるいは糸球体のろ過能力を表すGFRが10mL/分/1.73㎡未満)や、血中のリンやカリウムが基準値よりも高いことなども診断の目安とされています。
治療
腎不全末期による尿毒症では、透析療法や腎移植が必要になります。透析療法には血液透析と腹膜透析の2種類があり、患者さんの年齢や生活スタイルにあわせた治療を選択することができます。
心不全や尿路閉塞が原因の場合は、原因疾患の治療を行い、溶血性尿毒症症候群ではvero毒素除去のための輸液、血漿交換、抗菌薬の投与、透析療法などが行われます。
セルフケア
予防
尿毒症の多くは、腎不全が進行した末期の状態や、感染症などが引き金になって腎不全が急に悪化した場合に起こります。いつもより倦怠感やむくみが強い、いつもはなかった吐き気や頭痛があるなど、症状に変化が現れたら、速やかに主治医に連絡をとり、適切な治療を受けましょう。
監修
しみず巴クリニック 腎臓内科
吉田顕子
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