腎血管筋脂肪腫(腎AML)

じんけっかんきんしぼうしゅ・じんえーえむえる

最終編集日:2023/10/25

概要

腎臓に発生する腫瘍で、血管、脂肪組織、平滑筋からなるため、このような名前がつけられています。多くは良性で腎臓に発生する良性腫瘍のなかでもっとも頻度が高いといわれます。約70%は単独で発症し、残りの約30%は常染色体優性遺伝の疾患である結節性硬化症という遺伝子の異常から起こる病気に合併します。

結節性硬化症による腎血管筋脂肪腫は、10代後半から30代に発症しやすく、女性に多いとされています。結節性硬化症は、指定難病となっています。

原因

結節性硬化症に合併するものは、たんぱく質の作用をコントロールする遺伝子の異常で、細胞の増殖が過剰になることが原因となります。遺伝子の異常がなぜ起こるのかはわかっていません。

腎血管筋脂肪腫の約70%は、単独で発症する孤発例であり、原因は明らかになっていません。

症状

腫瘍が小さければ、症状はありません。大きくなると、腹部膨満感やわき腹の痛み、腰の辺りにしこりが触れたり、便秘などが起きてきます。

腫瘍の存在を知らず、あるいは放置していることで増大し、腫瘍が破裂すると、強い腹痛や肉眼的血尿が起こったり、腹部膨満、冷や汗、意識消失などのショック状態に陥ります。

検査・診断

超音波(エコー)検査、CTやMRIなどの画像検査で腫瘍の場所や大きさなどを調べます。また、血液検査や尿検査で、腎機能の状態をみます。結節性硬化症を疑わせるてんかんや皮膚病変、ほかの部位の腫瘍などの症状がみられる場合には、遺伝子検査を行います。

腎細胞がんや後腹膜の腫瘍などとの鑑別が行われます。

治療

腫瘍が4cm以下の場合は、経過観察を行います。定期的な画像検査で、増大や形の変化がないかなどを確認します。

腫瘍が4cmを超える場合、または、腫瘍内に生じた動脈瘤径が5㎜以上の場合は、腫瘍からの出血のリスクが高くなるため、予防的に動脈塞栓術を検討します。動脈塞栓術は、太ももの動脈からカテーテルを挿入して腎動脈末梢などに到達させてコイルを詰めて血管を閉塞することで、腫瘍に栄養が送れないようにし、腫瘍を縮小させる治療です。

腫瘍の大きさや、できた場所によって動脈塞栓術がむずかしい場合は、ほかの手術によって腫瘍を切除します。腹腔鏡下手術やロボット支援下手術が主流になりつつありますが、開腹手術を行う場合もあります。

結節性硬化症が原因の場合は、腫瘍の縮小を目的に、mTOR阻害薬(エベロリムスという分子標的薬)が用いられることもあります。

セルフケア

療養中

腎血管筋脂肪腫は自然に消退する(消えてなくなる)ことはありません。腎血管筋脂肪腫が見つかったら、年に1回の腹部超音波(腹部エコー)検査を行うなどの経過観察をつづけ、治療のタイミングを逃さないようにしましょう。

また、結節性硬化症では腎血管筋脂肪腫だけでなく、さまざまな場所に腫瘍ができていろいろな症状が現れます。腎血管筋脂肪腫から結節性硬化症を疑われたら、専門医を受診してくわしい検査や適切な治療を受けるようにしましょう。

監修

しみず巴クリニック 腎臓内科

吉田顕子

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