逆流性食道炎

ぎゃくりゅうせいしょくどうえん

最終編集日:2022/1/11

概要

逆流性食道炎とは、胃から胃酸や内容物が逆流し、食道の粘膜に炎症が起きる病気です。胸やけやゲップなどの不快な症状をひきおこしながら、逆流した胃酸が食道やのどの粘膜を傷つけます。

傷ついた粘膜はただれ、重症化するとびらんや潰瘍がみられるようになります。食生活の欧米化やヘリコバクターピロリ菌感染の減少などによって、胃酸の分泌量が増加したことも、この病気が増加傾向にある一因と考えられています。

原因

食道の炎症は、逆流した胃酸によって食道の粘膜がダメージを受けることで起こります。では、なぜ胃酸は逆流してしまうのでしょうか。これは、食生活の欧米化によって肉食が増えたことで胃酸の分泌量が増加したことや、食道と胃のつなぎ目にある下部食道括約筋という筋肉が何らかの理由でゆるんでしまい、胃酸が逆流しやすくなると考えられています。下部食道括約筋の力が弱くなる原因としては、暴飲暴食、脂肪分の多い食事、就寝前の食事などが挙げられます。

妊娠中の人、肥満傾向の人、便秘をしている人などは、常に腹圧が上がっている状態になっているため、胃酸が食道まで逆流しやすいとされています。

また、最近ではヘリコバクターピロリ菌の感染率が低下したことで、胃酸の分泌が増加しているともいわれています。

逆流性食道炎(食道粘膜の内視鏡画像)
逆流性食道炎(食道粘膜の内視鏡画像)

症状

逆流性食道炎の症状はさまざまですが、なかでも代表的なものは胸やけです。食道への刺激が強いと胸の辺りに痛みを感じる場合もあるようです。また、胃酸がのどから口のなかまで逆流し、口のなかに酸っぱい液を感じることもあります。

胃酸が逆流したことでのどにまで炎症が広がると、せき込む、声がかすれる、のどに違和感があるなどの症状が現れます。そのほか、ゲップの回数が多くなることや、胃もたれや食欲不振などの症状もみられます。これらの症状は胃酸の分泌量が増える食後に出やすいとされています。食後すぐに横になったり、前かがみになったりすると、胃酸が逆流しやすくなり、症状が悪化する可能性があるといわれています。また、明け方に逆流症状を強く感じることもあります。

検査・診断

初めに問診で症状などをくわしく聞き取ります。そのうえで内視鏡検査を行い、食道の炎症の状態などを確認します。食道粘膜に炎症が認められれば病気の診断はすぐにつきます。

また、逆流性食道炎と同じような症状がある病気には、胃潰瘍や胃がん食道がんなどがあります。食道に病変がある場合は、食道がんと鑑別するために組織の一部を採取して顕微鏡で観察する生検検査を必要に応じて行います。

治療

逆流性食道炎の治療は多くの場合、薬による治療と生活指導の二本立てで行われます。

まずは、胃酸の分泌を抑えるために薬による治療を行います。この治療によく使われているのが、プロトンポンプ阻害薬(PPI)です。そのほかに、酸を中和する薬や粘膜保護の薬、胃の内容物の逆流を抑えるための薬などを必要に応じて服用します。胃酸の分泌を抑える薬は、自覚症状がなくなったからといって服用をやめてしまうと再発する可能性があるため、継続して服用することが大事です。

同時に、生活習慣の見直しや、食生活の改善を指導します。これらの治療を行っても症状が改善しない場合などには、手術による治療が必要となる場合があります。近年では、開腹手術にくらべてからだの負担が少ない腹腔鏡手術が行われるケースが増えているようです。実際に手術を行うかどうかは、患者さんの希望をふまえて、医師と相談しながら決めていきます。

最近では強力に胃酸分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬が開発され、手術による治療を行うことは少なくなっています。

セルフケア

予防

食生活の欧米化によって肉をたくさん食べるようになり、胃酸の分泌量が多くなったことによって、逆流性食道炎を患う人の数が増えています。このことから、食生活や生活習慣を見直すことが予防につながると考えられます。

まず、ふだんから暴飲暴食には気をつけましょう。肉中心のあぶらっぽい食事、アルコール、チョコレート、コーヒー、炭酸飲料、みかんなどの柑橘類は、胃酸の分泌量を増やします。分泌量が増えればそれだけ胃酸が食道へ逆流しやすくなります。

そのほか、就寝前の食事、喫煙などの習慣も改めましょう。食後すぐに横になると胃酸が逆流し、症状を悪化させる可能性があるので、食後2時間はからだを起こしているようにしましょう。また、ベルトやガードルなどで腹を締めつけるのもよくありません。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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