食道憩室しょくどうけいしつ
最終編集日:2024/4/4
概要
憩室とは、消化管の壁が袋状に外側に飛び出した病態を指します。食道憩室では、食道に憩室が発生します。食道内の内圧が上がることで発生する「圧出性(内圧性)憩室」と、周囲の臓器の炎症などによってひきおこされた癒着によって、食道壁が引っ張られて発生する「牽引性憩室」があります。
頻度の高い部位として、食道の入り口(咽頭食道憩室、あるいはツェンカー憩室)、気管との分岐部(気管分岐部憩室、あるいはロキタンスキー憩室)、横隔膜の上部(横隔膜上憩室)の3カ所があります。
健康診断やほかの病気での上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)などで偶然見つかることがほとんどで、食道の造影検査の1%前後に見つかるとされています。
原因
咽頭食道憩室や横隔膜上憩室では、食塊の移動と食道の筋肉の協調運動の低下が、気管分岐部憩室では結核などの感染症による炎症が誘因と考えられています。横隔膜上憩室は食道アカラシアや食道裂孔ヘルニアなどに合併することがあります。
症状
憩室が小さければ、多くは症状がありません。大きくなって食道を圧迫すると、食道の違和感、飲み込みにくさなどがみられることがあります。頻度は低いものの、憩室が炎症を起こす憩室炎や、潰瘍を併発すると出血や穿孔(食道の壁に穴が開く)が起こることがあり、疼痛、吐血、発熱などの症状が現れます。
検査・診断
胃カメラや、バリウムを用いた造影X線検査で診断がつけられます。食道アカラシアや食道裂孔ヘルニアの合併の有無を鑑別することも必要です。
治療
無症状であれば、治療の必要はありません。しかし、気管分岐部憩室と横隔膜上憩室では、食道がんが発生することがまれにあるため、定期的な経過観察がすすめられています。
症状が強い場合、出血や穿孔を起こした場合には、手術で憩室を切除します。開胸手術、胸腔鏡による手術、腹腔鏡による手術が主流ですが、咽頭食道憩室については経口内視鏡で憩室を切除する「経口内視鏡的憩室切離術」が行われています。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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