舌がんぜつがん
最終編集日:2025/12/18
概要
舌がんとは舌にできるがんです。舌がんを含め、歯ぐきや上あご、ほおの粘膜など、口の中にできるがんを口腔がんといいます。 口腔がんに罹患する人の約半数(約47~55%)が舌がんです。
舌の側面にできることが多いですが、まれに舌の上や先端にできることもあります。50〜70歳代に多く、男性の発症率は女性の2倍とされています。
原因
原因は明らかではありませんが、飲酒や喫煙などによる刺激や、歯並びの悪い歯が舌に当たることによる慢性的な刺激などが誘因になるのといわれています。
近年の研究では、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染や、口腔内の不衛生・歯周病も舌がんの発症に関与している可能性が指摘されています。
症状
口内炎が2週間以上治らない、舌の粘膜に赤や白の斑点ができている、舌に硬いしこりやただれがある、舌の動きに違和感がある、舌にしびれを感じるなどの症状が現れます。進行すると痛みや出血が続いたり、口臭が強くなったりします。
検査・診断
視診と触診によってがんの大きさを確認します。超音波(エコー)検査やCT、MRIなどの画像検査で広がり具合を確認します。細胞診や組織診も行い、がんが転移しているかどうかはPET検査や骨シンチグラフィ検査で調べます。
治療
手術を行ってがん組織を取り除きます。場合によっては放射線療法や抗がん剤による化学療法などを組み合わせます。
手術では、がんの進行具合によって舌部分切除術、舌半分切除術、舌全摘出術のいずれかを選択します。がんが小さければ舌部分切除術を行い、比較的短期間の入院で済むこともあります。切除範囲は小さく、舌の変形はあっても嚥下や味覚などへの影響はほとんどありません。
舌半分切除術の場合には、術後1週間ほどは鼻からの流動食と点滴による栄養管理が必要です。機能障害は生活に支障をきたさない程度にとどまり、味覚障害も起こりません。
舌全摘出術の場合は、欠損した部分を胸や手からの皮膚で再建する手術もあわせて行います。縫合部が落ち着くまでには数カ月かかることが多く、術後の機能障害も避けられません。
近年、切除不能または再発した舌がんに対して、光免疫療法や免疫チェックポイント阻害薬などの新しい治療選択肢が加わっています。
セルフケア
予防
禁煙、適量の飲酒、栄養バランスのよい食事、運動などを心がけることで予防効果が期待できます。舌がんは早期発見が非常に重要で、ステージIの段階で発見できれば、5年生存率は90%以上にのぼります。毎日の歯磨き時に鏡で舌をよく観察し、舌の側面に異常がないか確認する習慣をつけましょう。2週間以上治らない口内炎、硬いしこり、白や赤の斑点、ただれなどがあれば、口腔外科を受診してください。
監修
医療法人芯聖会 理事長
仮屋聖子