喉頭がん
こうとうがん

最終編集日:2023/9/29

概要

のど(喉頭)にできたがんを喉頭がんといいます。多くは粘膜に発生する扁平上皮がんです。喉頭は、のどぼとけの辺りにあり、声帯周囲の「声門」と呼ばれる部分を中心に、声門上部、声門、声門下部に分けられます。喉頭がんは、発生部位別に、声門(約80%)、声門上部(約15%)、声門下部(約5%)の順になっています。

喉頭は空気の通り道であり、食べ物を飲み下す際は喉頭蓋で気道を覆って、誤嚥(ごえん)が起こらないようにするしくみもあります。声帯では発声の働きももっています。喉頭がんでは、これらの働きが障害される可能性があります。年間の患者数は約5000人、60歳以上の男性に好発し、人口10万人あたり男性で7.6人、女性で0.7人の罹患率とされています(2019年がん種別統計)。

原因

喫煙と過度の飲酒が、もっとも重要なリスク因子です。

症状

初期には、のどの違和感、嗄声(させい:声がれ、しゃがれ声)、のどの痛みなどが現れます。進行すると、誤嚥、頸部腫瘤(のどぼとけ周辺のしこり・腫れ)、息苦しさ、喘鳴(ぜんめい)、血痰が起きてきます。発生部位によって必ずしもはっきり分けられるわけではありませんが、おおよそ次のような特徴があります。


●声門部……声帯に病変が現れるため、多くは早い段階で嗄声がみられます。


●声門上部……頸部リンパ節腫脹をきたしやすいことから、リンパ節の腫れで気づくことがあります。


●声門下部……喉頭のなかでもっとも奥にあるため、初期には気づきにくく、血痰、喘鳴、息苦しさで気づくことが多いようです。

喉頭

検査・診断

鼻腔から挿入する喉頭内視鏡を用いて喉頭を検査します。声帯の振動は通常、肉眼では観察がむずかしいため、喉頭ストロボスコピー検査を行って振動の様子を調べます。さらに、頸部の造影CTやMRI検査、PET検査などの画像診断を行って周辺組織への浸潤(染み込むように広がること)の有無、リンパ節転移や遠隔転移の有無を精査します。生検による病理組織学的検査で確定診断します。下咽頭がんとの鑑別が重要です。

治療

がんの性質、進行度、患者さんの年齢、全身状態などを考慮し、がんの根治と機能温存の双方を検討しながら、放射線療法を中心にした治療と、喉頭機能温存手術、喉頭全摘出術から治療法が選択されます。リンパ節転移がある場合、またはそのリスクが高い場合には、摘出術に加えて頸部リンパ節郭清も行われます。


●放射線治療(+抗がん剤)

X線が用いられます。通常の照射法のほかに、病巣にピンポイントで照射し、周囲の臓器や組織へのダメージを少なくする「強度変調放射線治療(IMRT)」という方法も広く行われています。放射線照射と抗がん剤を組み合わせた「化学放射線療法」も行われます。

抗がん剤はPF療法(シスプラチン+フルオロウラシル)、TPF療法(PF療法+ドセタキセル)などが選択されます。


●喉頭機能温存手術

〈経口的切除〉……がんが非常に小さい場合に適応になります。内視鏡下にレーザーなどを使用して病変を切除します。初期の声門がんであれば、約90%の制御率とされています。

〈喉頭部分切除〉……放射線治療後の再発例での適応が多い方法です。がんに侵された部分のみを切除します。

〈喉頭亜全摘出術〉……喉頭の約4分の3を切除します。後述の「永久気管孔」をつくらずに喉頭の機能を温存します。


●喉頭全摘出術

喉頭全体を切除する方法で、声帯がなくなり、術後は声を失います。さらに、咽頭につながる部分も切除して気管が鼻・口とつながらなくなるため「永久気管孔」という呼吸孔を頸(首)部に開けることになります。


●分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬

再発例や、遠隔転移がある場合に用いられます。抗がん剤と併用する場合もあります。

セルフケア

病後

●リハビリテーションについて


喉頭機能温存手術で、ある程度広い範囲を切除した場合は誤嚥のリスクが高くなるため、注意が必要です。また、切除法によっては発声障害が出ることもあるため、発声リハビリテーションを受ける必要があります。

喉頭全摘出術では声を失うため、代用音声(コミュニケーション法)を体得するためのリハビリテーションを行います。代用発声として、食道を用いる発声、器機を用いる人工電気喉頭、気管と食道をつないで発声するシャント発声があります。

監修

耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニック 院長

大河原大次

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