口腔がんこうくうがん
最終編集日:2021/12/21
概要
口腔、つまり口のなかにできるがんを総称して口腔がんと呼びます。口腔がんには、歯肉がん、舌がん、舌と歯ぐきの間にできる口腔底がん、頬粘膜(きょうねんまく)がん、上あごにできる硬口蓋(こうこうがい)がんなどがあります。
口腔がんのなかでいちばん多いのは舌がんですが、すべてあわせても全体がんの1〜2%という珍しいがんです。
口腔がんは自ら直接見たり触ったりできるがんです。口腔に硬いしこりがあったり、口内炎がなかなか治らなかったりする場合は注意が必要です。
原因
口腔内の衛生状態が悪かったり、むし歯や入れ歯などで慢性的に刺激を受けつづけたりなどが原因と考えられています。
喫煙や過度な飲酒も口腔がんの発症リスクを高めます。また、熱い、からいなど刺激の強い食べ物を好む食生活も口腔がんの発症に関係していると考えられています。
症状
一般に初期は白あるいは赤いしこりが確認できるだけで、痛みや出血はありません。治りにくい口内炎が口腔がんの症状である場合もあります。
進行すると発症部位からの痛みや出血、悪臭などが現れます。しこりが大きくなり食べ物が食べにくくなったり、話しづらくなったりすることもあります。
また口腔がんは頸部リンパ節への転移が多く、その場合は首にしこりを感じるようになります。
検査・診断
視診による病変の診察を行います。直接確認できない場合はファイバースコープなどを用いて確認します。口腔がんは頸部リンパ節への転移が多いため、頭頸部のリンパ節を触診し、腫れやしこりの有無を確認します。
さらに超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査などの画像検査によって、病気の広がりや進行度、転移の有無などを判断します。診断を確定するために、病変の一部を採取して病理検査を行うこともあります。
治療
初期の口腔がんは、手術療法が標準治療とされています。進行しているケースや再発などでは、手術療法に加えて化学療法や放射線療法が並行して行われることがあります。
口腔がんの手術では口腔内だけでなく、舌や顔面の切除をすることもあり、術後に食べ物がかみにくくなったり、飲み込みにくくなったりすることがあります。さらに顔面の変形など、その後のQOL(生活の質)や患者の精神面に大きな影響を与えるケースも少なくありません。がんの治療とともに、機能面や審美面での再建も大きな課題となります。最近では患部を再建するため、ほかの部位から組織移植を行うケースも増えています。
セルフケア
病後
口腔は飲食や嚥下、言葉を発するなど、とても重要な機能をつかさどっています。手術や治療でこの機能に影響が及ぶ場合は、さらなる治療やリハビリが必要になるケースも少なくありません。医師の指示に従い、定期的な診察や検査、治療などを積極的に行い、QOLを維持していきましょう。
予防
口腔内を衛生に保ち、むし歯などがある場合にはしっかり治療を行いましょう。入れ歯などの義歯のかみ合わせが悪い場合は、歯科医に相談し改善する必要があります。
また喫煙や過度な飲酒はやめ、熱い食品やからい食品など刺激物の摂取は控えめにしましょう。
監修
寺下医学事務所医学博士
寺下謙三
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