上顎洞がん

じょうがくどうがん

最終編集日:2022/1/11

概要

鼻(鼻腔)を取り囲むように左右につながる8つの空洞を副鼻腔といいます。副鼻腔の役割ははっきりしていませんが、顔面を保護したり頭蓋骨の重さを軽減したりする働きがあります。副鼻腔のひとつで、頬の骨の裏側にあるのが上顎洞です。この上顎洞に発生する悪性腫瘍が上顎洞がんです。

副鼻腔がんのなかでは発生率の高いがんですが、がん全体のなかの発生率は低いほうです。

原因

蓄膿症といわれる慢性副鼻腔炎や、喫煙により粘膜が長期間炎症を起こし上顎洞にうみがたまった状態がつづくと、上顎洞がんの発症リスクが高まると考えられています。

初期には症状が現れにくく、自覚症状が出たときには進行がんとして発見されるケースがほとんどです。

症状

初期症状は、鼻づまりや鼻の出血、うみの混じった鼻水が出るなどです。副鼻腔炎に似た状態が続くため、自覚症状がないまま、がんが進行することがあります。進行すると、炎症が起こって顔の一部が腫れる、視力が低下する、物が二重に見える(複視)などの症状が現れます。

がんの進行する方向によっても症状は異なります。がんが内側に広がると、鼻づまりや頭痛、うみ混じりのどろっとした黄色い鼻水が出ます。上方向に進行した場合は眼球突出や複視が、下方向に進行すると上あごの腫れや歯の痛みが生じます。

顔面の前方に進行すると頬の腫れや痛みなど、後方に広がると開口障害や頭痛が生じます。ただし、ほかのがんにくらべて転移は少ない傾向にあります。

検査・診断

顔の腫れや骨の欠損、押したときの痛み、歯ぐきや上あごの左右の腫れの違いなどを触診します。その後、ファイバースコープという内視鏡を用いて、鼻腔内や上あごに悪性腫瘍があるかどうかを調べます。

また、CT検査やMRI検査を行い、がんの広がりや進行の程度を確認します。

治療

手術療法、化学療法、放射線療法が、進行度や治療の効果によって組みあわせて行われます。

上顎洞の周囲には目や鼻、口など重要な器官が集まっているため、手術では必要最低限の組織の切除にとどまることが多くなります。

ほとんどの場合は手術後に化学療法や放射線療法を行い、がんの完治をめざします。

腫瘍の近くに眼球などの重要な器官があり、切除がむずかしいケースでは、手術をせずに化学療法や放射線療法のみで治療を行うこともあります。

手術では根本的な治療をめざしながら、顔や口内、眼球などの形や機能にできる限り影響を及ぼさない方法が選択されます。進行がんの場合には眼球摘出手術を行うこともあります。

顔面の変形や視力障害などの可能性を考慮に入れ、機能面だけでなく審美面にも配慮しながら、治療後のQOL(生活の質)を踏まえて治療法を選択します。

セルフケア

療養中

化学療法や放射線療法が始まると、味覚障害、唾液分泌障害、咽頭粘膜炎など、さまざまな副作用が発生することがあります。また、化学療法による嘔吐や下痢などの回数も増えるので、治療をやり遂げるためのリハビリが必要になります。

おもなリハビリは、スキンケア、口腔ケア、嚥下リハビリなどです。これらのリハビリに精神面のケアも加え、看護師や言語聴覚士、理学療法士などが回復をサポートします。

予防

副鼻腔炎から移行するケースも見られることから、予防としては副鼻腔炎の症状に気づいたら早期に医療機関で治療し、慢性化させないことが有効です。さらに喫煙習慣がある人は、減煙、禁煙が必要となります。

監修

寺下医学事務所 医学博士

寺下謙三

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