頸部食道がん

けいぶしょくどうがん

最終編集日:2022/1/11

概要

食道は上から頸部食道、胸部食道、腹部食道と分けられ、一番上の部分に発生するのが頸部食道がんです。頸部食道がんは食道がんのなかでは患者数4〜5%の少ないがんですが、悪性度はほかの食道がん同様高いと考えられています。

食道の周囲には気管や大動脈、心臓、肺などの臓器があり、進行すると周囲の臓器に広がっていきます。またリンパ節転移を起こしやすく、発症すると治療がむずかしくなるがんのひとつです。とくに、気管に液体や食べ物が入る「誤嚥」を防止する重要な機能をもっているため、この機能を温存しつつがんを切除することが大きな課題になります。

原因

頸部食道がんを含む食道がんのおもな原因と考えられているのが、喫煙と過度な飲酒です。とくに日本人は、飲酒によって体内に発生する発がん性物質、アセトアルデヒドの分解酵素の働きがもともと弱い人が多く、これが食道がんの発症につながるとも考えられます。

また熱いもの、からいものなど食道を刺激する飲食物を頻繁に摂取することも、食道がんのリスクを高めます。

症状

初期症状はほとんどありません。健康診断や人間ドックで見つかるケースが多いようです。

進行すると、飲食の際に食べ物がつかえたり、胸に違和感を感じたりすることがあります。せきや声のかすれが現れたり、胸や背中の痛み、体重減少が起こることもあります。

検査・診断

問診、触診に加え、食道の内視鏡検査あるいはバリウムを使った上部消化管造影検査を行います。

さらにがんの大きさ、浸潤度合い、周辺臓器への広がり、ほかの臓器やリンパ節への転移の有無を調べるために超音波検査、CT検査、MRI検査、PET検査などを行います。最近は腫瘍マーカー検査も行われています。

治療

患者の症状にあわせて手術療法、放射線療法、化学療法を組みあわせた治療が行われます。標準治療は手術ですが、外科手術だけでなく、内視鏡を使った内科的なアプローチで切除を行うケースも増えています。

がんが頸部のみにとどまっている場合は頸部食道のみの切除で済みます。ただし、がんの大きさや広がりによっては、のどから食道すべてを切除することもあります。食道の再建には小腸や胃が使われます。

セルフケア

病後

手術で食道の一部あるいは全部が切除されると食事量が減るケースが多く、体重の減少が起こります。術後は、胃酸が逆流する逆流性食道炎や食べたものが小腸にすぐ流れ込むことによるダンピング症候群などが起こりやすくなります。そのため食事を含めた生活スタイル全般の改善が必要です。

予防

食道がんの予防には禁煙と適正飲酒が重要です。加えてバランスのとれた食生活、適度な運動、適正体重の維持、過度なストレスの排除、感染予防などによって食道に負荷をかけないことが予防につながります。

監修

寺下医学事務所 医学博士

寺下謙三

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