下咽頭がんかいんとうがん
最終編集日:2022/3/15
概要
鼻の奥から食道までの、飲食物と空気が通る部分を咽頭(いんとう)といいます。咽頭は上から3つに分類され、喉頭蓋(こうとうがい)から声門下部までの咽頭のいちばん下の部位が「下咽頭」で、この部分にできたがんが下咽頭がんです。
下咽頭がんは、同じ咽頭にできる上咽頭がんや中咽頭がんにくらべて予後が悪いとされています。
また、周囲にはリンパ節が多く存在するため、リンパ節転移を起こしやすいことも特徴のひとつです。
原因
はっきりとした発生原因はわかっていませんが、喫煙と過度の飲酒による口腔内の衛生状態の低下、いわゆる不潔になることが発症にかかわっているのではないかといわれています。
症状
初期には自覚症状がほとんどありませんが、物を飲み込むときに違和感や痛みがある、耳が痛む、のどの痛みがつづいている、声がれがある、くびやのどの周辺にしこりがあるなどの症状が現れることもあります。
ただ、こうした症状に気がつかないケースもあり、頸部リンパ節への転移によって現れる首のしこりなどで発見されることもあります。
検査・診断
通常、触診や、咽頭内をファイバースコープや内視鏡で検査することで診断できます。がんが疑われる場合は、組織を採取する生検が行われます。
さらに治療に役立てるため、がんの大きさやリンパ節および他臓器への転移などを調べるCT検査、MRI検査、超音波検査、PET検査などが行われます。
治療
下咽頭がんの治療では、飲み込むことや発声機能を残すことも、がんの治療とともに重要視されます。
治療はおもに手術療法と放射線療法を組み合わせて行われます。下咽頭がんは、放射線に対する感受性が良好で効果が期待できます。
また近年、手術療法や放射線療法に加えて、抗がん剤による化学療法を併用する治療も試みられています。
セルフケア
予防
禁煙と過度な飲酒を控えることが、下咽頭がんの予防につながります。
下咽頭がんはとくにアルコールと関連が深く、飲酒するとすぐに顔が赤くなる「フラッシング現象」のケースでは、過度な飲酒をつづけると下咽頭がんのリスクが高くなります。これは日本人やアジア人にアルデヒド脱水素酵素の非活性化型の人が多いことに関係しています。
監修
耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニック 院長
大河原大次
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