自覚しにくい脂肪肝 〜健診で指摘されたら対策を!
最終編集日:2024/2/15
脂肪肝といえば、アルコール好きの人に多い病気というイメージがあるかもしれません。しかし、実はアルコールを飲まなくても脂肪肝になることが少なくありません。誰でもなる可能性のある脂肪肝を知っておきましょう。
●脂肪肝とは肝臓の細胞に脂肪がたまった状態
肝臓は、腸で吸収された栄養素をたっぷり含んだ血液が流れ込んでくる臓器です。ここで栄養素はからだに利用されやすい形(糖質、たんぱく質など)に作り変えられ、からだに有害な成分(アルコールや薬剤など)も害のない形に変えられます。脂肪の消化・吸収に必要な胆汁の分泌なども肝臓で行われています。
このように重要な臓器である肝臓に、何らかの原因で脂肪(中性脂肪)がたまってしまうことがあります。肝臓の細胞の30%以上に脂肪がたまっている状態を脂肪肝といいます。
●健診で肝機能異常がわかり、脂肪肝が見つかることが多い
脂肪肝が進行すると肝臓の機能低下につながるため、早期発見が大切です。しかし、自覚症状は病気がかなり進行しないと現れません。そのため、健診などで受けた肝機能検査(血液検査)で、ALT、AST、γ(ガンマ)‐GTPの数値が基準値よりも高い「肝機能異常」がわかり、そこから脂肪肝の診断につながるケースが一般的です。異常を指摘された場合は放置したりせず、二次検査を受けたり、かかりつけ医を受診しましょう。
放置していると病気が進行し、肝炎を起こすことがあります。さらに肝臓の細胞がダメージを受けて線維化し、肝臓が硬くなる肝硬変に進んだり、肝がんの発症リスクも生じたりします。
●中高年女性に増えているアルコールとは無関係の脂肪肝
脂肪肝には「アルコール性脂肪肝」と「非アルコール性脂肪肝」の2種類があります。
アルコール性脂肪肝は、長期にわたる過度のアルコール摂取による脂肪肝で、30~40代の男性に多い傾向にあります。進行すると「アルコール性肝炎(ASH)」を引き起こす可能性があります。一方、非アルコール性脂肪肝は、アルコール以外の要因(肥満、糖尿病、脂質異常症、遺伝など)で起こると考えられています。進行すると「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」を引き起こす可能性があります。現在、50~60代の女性に増えているのが、このタイプの脂肪肝です。
いずれにせよ、脂肪肝と診断されたら、ライフスタイルの改善が必須です。医師や栄養士などの指示に従って適正なエネルギー量の食事をとり、アルコールや間食を控え、適切な運動を習慣化することが大切です。
それでも肝機能検査の数値がなかなか改善しないときは、一度専門医(肝臓専門医)を受診し、原因や脂肪肝の進行度などを調べてもらうのがおすすめです。かかりつけ医から紹介してもらうか、日本肝臓学会のサイト(https://www.jsh.or.jp/medical/)の「肝臓専門医一覧」を参考にするとよいでしょう。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居 明
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