胃肉腫いにくしゅ
最終編集日:2025/12/19
概要
胃の粘膜から発生する悪性腫瘍を胃がんといい、それ以外の組織(筋肉やリンパ組織)から発生する悪性腫瘍を肉腫といいます。胃の悪性腫瘍のなかで胃肉腫が占める割合は5%ほどで、比較的まれな疾患です。40歳以上の男性にやや多い傾向があります。
胃肉腫にはいくつかのタイプがありますが、多いのは悪性リンパ腫と平滑筋肉腫です。そのほかに消化管間質腫瘍(GIST)もあります。悪性リンパ腫は胃の中にあるリンパ管内から発生し、潰瘍やびらんを伴うことがあります。平滑筋肉腫は胃壁の平滑筋から発生し、比較的ゆっくり進行します。GISTは胃や腸の動きを調整する「カハール介在細胞」という特殊な細胞由来の腫瘍です。
原因
多くは遺伝子の突然変異が原因と考えられていますが、発症のくわしいメカニズムはわかっていません。
症状
初期症状はほとんどありませんが、進行すると胃痛、胃の不快感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹部膨満感や吐血、下血などの症状が現れます。
無症状のケースが多いため、多くは胃がん検診や人間ドックで偶然発見されます。とくに平滑筋肉腫は無症状のまま経過することが多く、吐血や下血などの症状が出てから医療機関で発見されることもあります。
検査・診断
一般的には内視鏡検査で胃の内部を直接観察して診断が行われます。確定診断には内視鏡で腫瘍の一部を採取して病理検査を行います。
転移や浸潤の有無などを診断するために、超音波内視鏡検査、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査、PET検査などの画像検査が行われることもあります。
治療
腫瘍の種類によって治療方針が異なります。
悪性リンパ腫は、抗がん剤による化学療法が広く行われており、リンパ腫のタイプに応じて放射線療法を併用することもあります。
平滑筋肉腫やGISTは手術療法が中心で、可能な限り胃を温存する(残す)手術が選択されます。ただし胃の入り口(噴門部)や出口(幽門部)周辺に腫瘍がある場合は、噴門側胃切除術や幽門側胃切除術が行われます。
またGISTの場合、分子標的薬(イマチニブなど)による治療が行われることもあります。
セルフケア
病後
再発を防ぐために、手術後や化学療法後は数年にわたる定期的な診察と検査が必要になります。
また食事内容の調整など、医師・管理栄養士の指導に従った食事管理も役立ちます。
監修
わだ内科・胃と腸クリニック
和田蔵人