上咽頭がんじょういんとうがん
最終編集日:2022/1/11
概要
鼻の奥から食道までの飲食物と空気が通る部分を咽頭といいます。咽頭は上から3つに分類され、いちばん上の部分が上咽頭で、この部分にできたがんが上咽頭がんです。
40〜60歳代に多くみられるがんですが、発症率は低く、比較的まれながんのひとつです。
咽頭の周囲にはリンパ節がたくさんあるため、リンパ節転移を起こしやすいことが特徴です。
原因
はっきりとした発生原因はわかっていませんが、ヘルペスウイルスの一種であるEBウイルス(エプスタイン・バー・ウイルス)が原因のひとつと考えられています。
また喫煙と過度の飲酒も影響しているのではないかと推察されています。
症状
初期症状には、耳がつまった感覚や聞こえにくさ、また鼻づまりや鼻血をくり返すなどがあります。脳神経に影響が及ぶと目が見えにくくなる、二重に見えるなどの症状が現れます。
ただしこうした症状に気がつかないケースが多く、発見時の特徴的な症状としては頸部リンパ節への転移による首のしこりがあります。
検査・診断
通常、触診や、咽頭内をファイバースコープや内視鏡で検査することで診断できます。がんが疑われる場合は、組織を採取して調べる生検が行われます。
さらに治療に役立てるため、がんの大きさやリンパ節および他臓器への転移など調べるCT検査、MRI検査、超音波検査、PET検査などが行われます。
治療
上咽頭の周囲には脳神経がたくさん走っているため、その難度から手療法術はあまり行われず、放射線療法が標準治療になっています。
上咽頭がんは、放射線に対する感受性が良好で効果が期待できます。近年、抗がん剤による化学療法を併用すると治療効果が高まることがわかってきたため、放射線療法と化学療法を併用する化学放射線療法が行われるケースが増えており、根治も可能となってきました。
ただし、治療後に頸部リンパ節への転移がある場合は切除手術が行われます。
セルフケア
療養中
治療の効果を高め、かつ再発を防ぐために、禁煙とできるだけ飲酒を控えることが推奨されています。
病後
治療の効果を高め、かつ再発を防ぐために、禁煙とできるだけ飲酒を控えることが推奨されています。
予防
上咽頭がんを予防することはむずかしいのですがEBウイルスが発症原因の1つと考えられているので、日頃から口腔ケアに気を配ることも重要です。
進行の早いがんですが、一方で治療にもよく反応するため、自覚症状など気になったときは早めに受診することが大切です。
監修
寺下医学事務所医学博士
寺下謙三
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