嚢胞性肺疾患(肺嚢胞症)のうほうせいはいしっかん・はいのうほうしょう
最終編集日:2023/10/23
概要
嚢胞とは袋状の病変で、内部には体液などが入っています。からだのいろいろな場所に起こり、肺にできたものが肺嚢胞で、肺嚢胞ができる病気を嚢胞性肺疾患(肺嚢胞症)と呼んでいます。
先天性のもの(気管支性嚢胞、先天性嚢胞状腺腫様奇形など)と、後天性のものがあり、多くは良性です。後天性のもののなかには、嚢胞が片方の肺の3分の1以上を占めるようなものもあり「巨大気腫性肺嚢胞」と呼ばれています。
原因
先天性のものの原因はまだわかっていません。後天性のものは、肺炎や肺結核による炎症、腫瘍、寄生虫などからひきおこされるケースが多くみられます。
症状
嚢胞が小さい場合、症状はありません。健康診断などで見つかることがほとんどです。
嚢胞が大きいと、肺や気管支を圧迫するために、喘鳴(ぜんめい)、息苦しさなどが現れます。また、肺炎などに合併する場合は発熱やせき・たんなど、原因疾患の症状を伴います。先天性のものの場合、小児期から、せき・たん、喘鳴などの症状がみられたり、肺炎をくり返すこともあります。
検査・診断
胸部X線、CT、MRIなどの画像検査で嚢胞の場所、大きさ、性状、周囲の臓器への影響などを診断します。後天性のものでは、血液検査、喀痰検査など、疑われる原因疾患にあわせた検査も行われます。
治療
嚢胞が小さく、症状がなければ、治療の必要はありません。
嚢胞の場所や大きさによって、症状が強かったり、周囲の臓器や組織との癒着や圧迫のリスクが高かったりする場合は、手術による切除が検討されます。開胸手術と胸腔鏡下手術があり、嚢胞の状態や患者さんの全身状態によって選択されます。
先天性のものでは、出生前の超音波(エコー)検査で胎児に肺嚢胞が見つかることもあります。出生後は、たとえ無症状であっても将来的にどのようなリスクがあるのかを考慮して、主治医とよく相談のうえ、治療のタイミングを逃さないことが大切です。
セルフケア
病後
●病後のケア
ほとんどの嚢胞は小さいので、自覚的な問題は起こしません。しかし、嚢胞が大きい場合には嚢胞が正常部位を圧迫することによる症状が出る場合があります。気管支が圧迫されている場合は、吸入の気管支拡張薬が部分的に症状の緩和に役立つことがあります。
監修
千葉大学病院 呼吸器内科 特任教授
巽浩一郎
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