好酸球性肺炎
こうさんきゅうせいはいえん

最終編集日:2022/1/11

概要

白血球の一種である好酸球が肺に浸潤する(しみ込むように広がる)ことによって発症するアレルギー性の肺炎が好酸球性肺炎です。

急性と慢性に分類され、急性好酸球性肺炎は喫煙を契機に発症する若年層が多いことが特徴です。慢性好酸球性肺炎は多くが30~50歳代の女性に発症します。

原因

肺炎の多くは細菌などの病原体に感染することが原因なのに対し、好酸球性肺炎はアレルギー反応にかかわる好酸球が何らかのきっかけで肺に集まることによって発症します。

薬剤、真菌(カビの一種)、寄生虫、たばこに含まれる成分に対するアレルギー反応が契機になることが多いと考えられています。

症状

急性好酸球性肺炎では、急速に呼吸困難が進行することがあります。発熱せきといった症状に始まって、数時間から数日の間に呼吸状態が悪化し、呼吸不全に陥る可能性があります。

薬剤へのアレルギーが原因の場合は摂取から1週間以内に発症します。未成年者が遊びで喫煙を開始した時期に症状が出現することがありますので、このような場合は喫煙が原因で苦しくなった可能性を考える必要があります。

慢性好酸球性肺炎は、ゆるやかに病状が進行します。よくなったり悪くなったりをくり返しているうちに、重篤な呼吸不全に陥ることもあるので注意が必要です。

検査・診断

胸部X線検査、胸部CT検査などを行います。肺の複数の部分にすりガラスのような淡い陰影がみられると好酸球性肺炎の疑いが生じます。

血液検査で好酸球の増加が認められ、なおかつ気管支内視鏡検査で肺の洗浄液や生体組織に好酸球がみられれば、診断の確定がなされます。

治療

ステロイド薬の投与を行います。一般にステロイド薬は好酸球性の炎症に効果が高いとされていますが、薬剤の減量過程で病気の再燃、再増悪を起こす可能性もあるため、症状が落ち着いてからも持続的な投与が必要になります。治療に数カ月から数年かかることもあります。

急性の場合は慢性にくらべステロイド薬に対する反応が良好であることが多く、投与期間が短くても治癒するケースが大半を占めるとされています。

セルフケア

療養中

療養中に処方されるステロイド薬を、症状がよくなったからと自己判断でやめてしまうと病気の再発につながります。医師の指示に従い、決められた期間は必ず服用をつづけるようにしましょう。

予防

アレルギーを起こしやすい体質の人は、喫煙や薬の乱用、カビの発生しやすい場所などを避けることが予防につながります。

監修

千葉大学病院 呼吸器内科特任教授

巽浩一郎

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