勃起障害(ED)
ぼっきしょうがい・いーでぃー

最終編集日:2023/1/19

概要

勃起障害(ED)とは、Erectile Dysfunctionの略で、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続、または再発すること、と定義されています。勃起に必要不可欠な陰茎の海綿体への十分な血流を得ることができないことで生じます。すべての男性に発生する可能性があり、年齢とともに有病率が上昇します。国内の40歳以上の男性の3人に1人が該当するといわれています。多くの場合、薬物療法で症状を改善することができます。

原因

勃起は、陰茎の海綿体に大量の血液を送り込み、性行為が終わるまでその状態を維持しておくことで成立します。そのためには陰茎の血管系と性的刺激を伝達する神経系の2つの働きが必要で、どちらか一方でも不具合が生じると、EDが起こります。

EDは、その発生原因により「心因性」と「器質性」、その2つをあわせた「混合性」の3つに分類されます。


●心因性によるもの

仕事や夫婦関係など日常生活における 不安、緊張、ストレス、性交の失敗などの心理的な問題や、うつ病、神経症などが原因で起こります。

●器質性によるもの

加齢や糖尿病、心不全、高血圧、動脈硬化などの病気や、喫煙や肥満などの生活習慣、血管、神経、内分泌環境などに影響する病気・手術・外傷などが原因で起こります。

●混合性によるもの

「心因性」と「器質性」の両方の要素をあわせもつタイプをいいます。


そのほか、降圧剤、抗精神病薬などの薬が原因で起こることもあります。

症状

勃起時の硬さが低下した、短時間でなえてしまう、一度なえると再勃起がむずかしい、まったく勃起しないといった症状が起こり、満足な性交が行えない状態となります。

検査・診断

診断は問診で行います。国際基準の「国際勃起機能スコア」という問診表を元に、最近6カ月の状況を各項目の質問に回答して判定が行われます。ほかの病気が原因となる器質性のEDが疑われる場合は、血液検査や画像検査などを行うことがあります。

治療

薬物治療となります。ED治療薬のPDE5阻害薬(ホスホジエステラーゼ5阻害薬)は、陰茎の血管を拡張して海綿体の血流量を増やし、勃起を促し、持続させます。心因性、器質性の原因を問わず効果があり、安全性の高い薬ですが、狭心症の薬(ニトログリセリンなど)と併用すると血圧低下が起こることがあり、使用できません。またPDE5阻害薬は、厚生労働省の認可を受けていますが、保険適用外です。

セルフケア

予防

症状が軽度のうちはセルフケアによる改善が可能です。その際に重要なのは「運動・ストレス解消・禁煙・減量」です。

●運動……運動で効果的なのは有酸素運動です。ジョギングやウォーキング、水泳などを取り入れてみましょう。

●ストレス解消……比較的若い世代のEDに多いといわれるのが心因性のEDです。規則正しい生活でストレス解消を心がけ、改善しない場合はカウンセリングを受けてみるとよいでしょう。

●禁煙……たばこに含まれる二コチンは血管を収縮させる作用があるため、血流に影響を与えます。また、男性ホルモンのバランスが崩れる原因ともなるので、禁煙は重要です。

●減量……肥満はEDのリスクを高めるので、減量によるカロリー制限や運動で勃起機能の改善につながることも。また減量はEDのリスク要因である生活習慣病予防の意味でも重要です。

監修

小山嵩夫クリニック 院長

小山嵩夫

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