停留精巣ていりゅうせいそう
最終編集日:2023/5/16
概要
男性の陰嚢にある精巣は、精子をつくる楕円形の臓器です。精巣は、母親の胎内にいるときに胎児の腹腔内でできて、その後下降して陰嚢のなかにおさまります。停留精巣とは、陰嚢内の正しい位置まで下降せず途中で留まってしまった(停留した)状態のことをいいます。また、きちんと陰嚢におさまったのに、それがしっかり固定されずに上方に移動しやすい状態を移動性精巣といい、これは定期的な経過観察のみで十分です。
精巣が正常に精子をつくりだすためには、比較的温度が低い陰嚢内におさまっていることが必要です。停留精巣になると不妊、精巣捻転、精巣がんなどのリスクが高まるといわれています。
ただし、生まれたときに停留精巣が発見されても、3カ月で7割ほどが自然に下降して正常な位置におさまるとの報告もあります。
原因
精巣を陰嚢に固定する靱帯(じんたい)の異常やホルモンバランスの異常などが原因ではないかといわれていますが、確かな原因はわかっていません。
症状
精巣が陰嚢におさまっていないということだけで、特別な症状はありません。
検査・診断
泌尿器科医や小児科医が視診や触診を行い、陰嚢を診察すれば精巣が正常な位置におさまっているかはすぐにわかります。
ただ、1歳までは精巣の自然降下が期待できます。それまでは経過観察をすることになります。
治療
停留精巣の場合、1〜2歳頃まで経過観察をして治療を行うかを決めることが多いようです。
おもな治療法は手術です。鼠径部、陰嚢などを切開して、停留している精巣を陰嚢内の正常な位置におさめる手術が行われます。
セルフケア
病後
術後はとくに生活上の制限はありません。通園、通学も可能です。
ただ、精巣が再び上昇したり、萎縮したりすることもあります。また将来的に、不妊や精巣捻転、精巣がんなどのリスクが高まるとの報告もあります。医師の指示に従い、定期的な検査が必要です。
監修
なかむらそうクリニック 院長
中村聡
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