精巣捻転せいそうねんてん
最終編集日:2023/8/28
概要
男性の陰嚢のなかには左右に1つずつ精巣があります。精巣につながる静脈と動脈、精子の通り道である精管は束状になっていて「精索」と呼ばれます。精巣捻転は、精索がねじれてしまう病態を指します。解剖学的に左の精索のほうが長いため、左側のほうが捻転しやすいとされています。精索のねじれによって血流が滞り、激しい症状が現れます。
12~16歳頃の思春期と、新生児期に多く発症します。
原因
原因として、精巣の解剖学的な異常(精巣を包む精巣鞘膜という膜が正常な位置よりも高いところにあることで精索の根元も包み込んでいてねじれを起こしやすい状態にある)や、第二次性徴期に精巣が急速に発育するために、精索が引き伸ばされることなどが挙げられます。また、打撲などの外傷がきっかけで起こることもあります。
なぜ解剖学的な異常が起こるかはわかっていません。
症状
突然、陰嚢周辺に激しい痛みが起こります(陰嚢痛)。下腹部や鼠径部(そけいぶ)の痛みとして現れる場合もあります。陰嚢の皮膚の発赤、腫脹(腫れ)を伴います。激痛によって吐き気・嘔吐が起こることもあります。
左側の精巣に生じることが多く(右側の約2.5倍)、夜間の睡眠中や早朝に起こりやすいのも特徴です。
検査・診断
問診と、下腹部、陰嚢周辺の視診、触診などで診断がつけられます。
捻転が起きている側の精巣は、正常な位置よりも上に上がっていたり、横になっていたりするため、診断に役立てられます。精巣挙筋反射(太ももの内側に刺激を加えると、精巣挙筋の反射で精巣が上に上がる)が消失しているのも特徴です。そのほか、ドップラー超音波検査で精巣への血流の低下を調べることもあります。
精巣上体炎などとの鑑別が必要です。
治療
緊急手術が行われます。発症後、6~12時間で捻転を解除して血流を再開しないと、精巣が壊死するリスクが高まるためです。手術では陰嚢を切開して、捻転を解除し、再発防止のために精巣を固定します。通常、もう片方の精巣も固定します。
発症から時間が経っていて、精巣が壊死を起こしている場合には、壊死した側の精巣を摘出します。また、壊死まで至らなくても、精巣が萎縮している場合もあります。
セルフケア
予防
本人は、外陰部の症状を恥ずかしがって言い出さない場合もあります。また、緊急手術に対応できる泌尿器科への搬送が遅れることもあります。
精巣捻転の発症頻度は、男性10万人あたり約0.56人と低く、まれな疾患といえますが、精巣捻転という病気があることを知っておき、万一の場合には迅速に対応できるようにしておくことが大切です。
監修
小山嵩夫クリニック 院長
小山嵩夫
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