多汗症
たかんしょう

最終編集日:2022/10/31

概要

暑いときや運動した際に汗をかくのは人の生理的な反応ですが、そうした刺激を受けない場面でも過剰な量の発汗が起こるのが多汗症です。日中は安静時でも多量の汗をかく一方で、就寝中は汗が止まるケースもあります。

全身に多量の汗をかく全身性多汗症と、顔、わきの下、手のひらなど、からだの特定の部位で多量の汗をかく局所性多汗症に分類されます。

また、原因がわかっているもの(ほかの病気によるもの)を続発性多汗症、原因が特定できないものを原発性多汗症と分類します。

原因

全身性多汗症には続発性多汗症がよくみられます。原因となる疾患には、甲状腺中毒症(甲状腺機能亢進症)、糖尿病、パーキンソン病、更年期障害、肥満症、結核、敗血症、薬による副作用(向精神薬、ステロイドなど)などがあります。

局所性多汗症の原因としては、精神的緊張や、辛いものを食べたことなどが挙げられます。

ただし局所性多汗症のほとんどは原因が特定できない原発性多汗症で、自律神経が乱れることで過剰に発汗すると考えられています。また、遺伝的な要素も疑われています。


症状

運動時や暑い環境下でないにかかわらず、わきの下や手のひら、あるいは全身に過剰に汗をかき、日常生活に支障が出ることがあります。

検査・診断

問診で症状を確認したのち、続発性多汗症を疑う場合は原因疾患の有無を検査します。

治療

原因となる病気が特定できる続発性多汗症の場合は、その病気の治療をします。

原発性多汗症の場合においては、塗り薬や飲み薬が処方されますが、日常生活に影響を及ぼす症状でもあるため、治療後の生活の質を踏まえて治療法を選択します。

ほかにも、ボツリヌス注射やイオントフォレーシス(発汗の多い手のひらや足の裏を、水をためた容器に浸して、微弱な電流を流すことをくり返す治療)、交感神経遮断術(胸部の交感神経を遮断する手術)などもあります。

セルフケア

予防

交感神経が優位にあると発汗が促進されるので、多汗症を予防するために、以下の点に注意しましょう。

●食生活の注意点

カフェインや辛いものには発汗を促す働きがあります。交感神経が敏感であるほど汗をかきやすくなるので、刺激物は極力控え、栄養バランスの整った食事をするように心がけましょう。

●生活習慣の改善

過度の飲酒を控える、減煙や禁煙に取り組む、十分な睡眠をとることも有用です。

●ストレスへの対策

緊張や不安によって感じるストレスも発汗を促します。生活にメリハリをつけ、心身ともにリラックスできる時間をつくりましょう。


監修

関東中央病院 皮膚科 部長

鑑慎司

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