心因性視覚障害しんいんせいしかくしょうがい
最終編集日:2022/4/21
概要
心因性視覚障害とは、目や脳に異常がないのに、視力の低下といった症状が起こる状態をいいます。発症は7〜12歳の女児に多く、男児の約2倍といわれています。
目に見えているものが、精神的ストレスが原因で「見えない」と思い込んでしまうことで起こります。治療には、原因となっている精神的ストレスの解消が重要となります。
原因
精神的ストレスが原因で視力に影響が出ます。実際に病気で視力が落ちているわけではありません。ストレスの原因となるのは、家庭や学校での人間関係の悩み、塾や習いごとの負担などさまざまです。
症状
多くは視力低下ですが、色覚異常、夜盲、視野欠損、視野狭窄、瞬目過多、間欠性外斜視、小視症などもみられます。これらの症状は、原因となるストレスが取り除かれると解消します。
学校の健診でわかることが多く、日常生活でスマートフォンを見たり、本を読んだりするうえでは差し支えがない場合が多いです。
検査・診断
視力低下の原因が、眼球や視神経の異常、ほかの病気かどうかを確認するため、眼底検査などを行います。
眼球や視神経に異常がなく、視力検査で矯正レンズを装着しても視力が出ない場合、あるいは、矯正用レンズの組み合わせで、度数を0にした眼鏡を使って視力を測定するトリック検査で視力が出た場合は、心因性視覚障害の可能性があります。
治療
治療は、原因となっている精神的ストレスを取り除くことから始めます。これには、家族を含めた周囲の人々の理解と協力が不可欠です。わずかな環境の変化で、すぐに視力が出ることもありますが、長期間にわたることもあります。
症状が改善しない場合は心療内科の受診が必要になることもあります。また、暗示療法や偽薬による治療が有効となる場合もあります。眼鏡の装着に憧れる眼鏡願望の子どもには、一時的に度の入っていない眼鏡を装着させることで、視力を1.0まで出せるといったケースもあります。
セルフケア
病後
精神的なストレスが原因のため、すぐに問題を解決できない場合も多いですが、焦らずに長期的に経過をみていくことが大切です。
監修
井上眼科病院 院長
井上賢治
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