良性発作性頭位めまい症

りょうせいほっさせいとういめまいしょう

最終編集日:2023/5/17

概要

めまいは原因によって、おもに次の3つに分けられます。①内耳に原因があるもの(内耳性めまい)、②脳疾患が原因のもの(中枢性めまい)、③そのほかの疾患に原因があるもの(高血圧症、脱水、不整脈、起立性低血圧、薬剤性など)。もっとも患者数が多いのは内耳性めまいで、約70%を占めるといわれています。

良性発作性頭位めまい症は内耳性めまいのひとつで、内耳性めまいの半数以上を占めるとされています。病名のとおり良性疾患ですが、めまい発作は患者さんのQOL(生活の質)を低下させるため、看過できない症状といえます。

原因

内耳の前庭には「耳石」という小さな炭酸カルシウムの結晶があって、水平・垂直を感じ取る働きをしています。耳石の大きさは0.005~0.01㎜程度。何らかのきっかけで、内耳の中を満たすリンパ液に乗って隣接する三半規管に入り込むことで、実際は頭が動いたり傾いたりしていないのに信号が送られ、めまいが起こります。三半規管は前半規管、外側半規管、後半規管からなります。もっとも耳石が入り込みやすいのは後半規管で、前半規管に入り込むことはあまりありません。

症状

頭を動かしたときや姿勢を変えた際に回転性のめまいが起こります。起床時、振り向いたとき、上や下を向いたときなどに誘発されます。多くは1分以内で治まりますが、吐き気・嘔吐を伴う、数日から数週間めまい発作をくり返す、などのケースも珍しくありません。

良性発作性頭位めまい症では一般的に、手足のしびれ、貧血、動悸、複視(物が二重に見える)、難聴などは伴いません。

検査・診断

問診で、どのような動作のときに起こるか、1回のめまいの持続時間はどれくらいか、耳鳴りや難聴の有無など、めまいの様子をくわしく聞きます。その後、めまいの際に現れる眼振(眼球が意思に関係なく動く)を見る「眼振検査」を行い、耳石がどの半規管に入り込んでいるかを調べます。フレンツェル眼鏡、あるいはフレンツェル赤外線眼鏡という特殊な眼鏡を用います。平衡感覚検査、血圧測定を行い、難聴の有無をみる「聴力検査」でほかの内耳疾患によるめまい(メニエール病など)を鑑別します。中枢性めまいや、その他の病気が原因となるめまいとの鑑別も重要です。

治療

耳石が自然に吸収されたり、自然に元の位置に戻ったりすることで症状が治まるケースもあるため、抗めまい薬や、吐き気・嘔吐を抑える対症療法(制吐薬など)を服用しながら様子をみます。

症状がつづく、頻回に発作が起こる、薬物療法で改善がみられないなどの場合、浮遊耳石置換法(頭位理学療法)が行われます。半規管に入り込んだ耳石を出す(元に戻す)治療法で、決まった順番で頭をいろいろな方向に動かして耳石の移動を促します。Epley(エプレイ)法、Gufoni(グフォーニ)法、Lempert(レンパート)法などがあり、耳石がどの半規管に入り込んでいるかによって選択されます。7~8割に効果がみられます。ただし、耳石が入り込んだ半規管を特定できた場合のみ有効とされています。特定できない場合でも、非特異的運動療法と呼ばれる頭を動かす治療法が有効とされています。

セルフケア

療養中

〈応急処置〉

良性発作性頭位めまい症は、頭を動かしたときに突然起こります。転倒などの二次的なリスクを避けるために、次のような対処法をとりましょう。

●しゃがみ込んで転倒を防ぐ。可能なら横になる

●目を閉じて頭を動かさない

●ベルトなどからだを締め付けているものを緩める

●乗り物乗車中の場合は、次の駅などで気をつけて降りる

●抗めまい薬や、めまいの改善効果をもつ酔い止め薬を携帯していたらすぐに飲む

●助けを呼ぶ

予防

一度めまい発作を経験すると、次にいつ起こるか不安に感じる患者さんは多いでしょう。以下を実践することで、めまいの予防効果が見込めることがわかっています。


●就寝時の姿勢を見直す

頭の位置をこれまでより少し高めにすることで、耳石が三半規管に入り込むリスクを軽減できます。また、常に同じ方向で横向きに寝ている人は、逆側に変えることが予防につながります。


●自分でできるトレーニングをつづける

トレーニング(めまい体操、寝返り体操など名称はいろいろ)をつづけることで、めまいの予防に効果が期待できます。トレーニングの目的は、耳石の位置を戻す、耳石を小さくして吸収しやすい大きさにする、耳石を動かすことで複数個が固まることを防ぐ、三半規管や小脳を鍛える、めまいに慣れる、などです。

それぞれだれにでもできる簡単な運動です。トレーニングによっては、1カ月で約半数に効果があったという報告もあります。最初は医師の指導の下で行い、やり方を覚えます。医師と相談して1日の回数を決めて継続しましょう。

なお、めまいは耳鼻咽喉科を受診するとよいでしょう。

監修

耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニック 院長

大河原大次

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