緑内障
りょくないしょう

最終編集日:2022/1/11

概要

眼圧など何らかの原因で、脳に視覚情報を伝える視神経に障害が起こり、視野が徐々に欠けていったり、狭くなったりする病気です。

日本人の40歳以上の20人に1人が発症するといわれ、放置したままにしていると、失明に至るケースもあります。かなり悪化するまで、ほとんど自覚症状はありません。

原因

健康な目には100万本におよぶ神経繊維が集まっています。この神経繊維が集まっている視神経に何らかの原因で障害が起こり神経繊維が少なくなっていくと、繊維の欠けた範囲が見えづらくなります。ただし発症のくわしいメカニズムはわかっていません。

眼圧の高い状態がつづくと、目の奥の視神経に障害が起こることから、眼圧が高い人がなりやすい病気ともいわれています。

高齢になるほど患者数が増えているため、加齢も要因のひとつとされています。

緑内障_眼圧
眼圧が高くなることにより視神経がダメージを受け、視野が狭くなる病気

症状

初期や中期は見えていないことに気づきにくく、進行すると見えない範囲がどんどん広がり、視野が狭くなります。視野が欠けた範囲は、輪郭がぼやけ、かすんだような見え方をします。欠けた視野は元に戻すことができません。

治療をせずに放っておいた場合、失明することも少なくなく、日本人の失明原因上位に上がっています。

緑内障はいくつかのタイプに分かれますが、ほとんどが原発緑内障というタイプです。原発緑内障は「原発開放隅角緑内障」「正常眼圧緑内障」「原発閉塞隅角緑内障」に分類されます。

眼球には房水という液体が循環しています。房水は毛様体でつくられ、隅角という場所から排出されますが、原発開放隅角緑内障はこの隅角に目詰まりが起こり、眼圧が上昇する病気です。一方、正常眼圧緑内障は眼圧が正常にもかかわらず、視神経が傷つく病気です。原発閉塞隅角緑内障は隅角が狭く、房水が排出されにくくなり、眼圧が上昇する病気です。

検査・診断

目の表面に空気をあてて測定する眼圧検査、視神経の状態を確認するために行う眼底検査、視野の欠損の有無や範囲を測る視野検査などが行われます。

治療

おもに眼圧を下げて、視神経繊維を現状より減らさない治療が行われます。房水のつくられる量が増えたり、流れる量が減ったりすると、房水が目のなかにたまって、眼圧が上がります。そのため、房水の流出を促す薬や、房水の産生を抑制する薬が処方されます。

正常眼圧の場合でも眼圧を30%ほど下げると、約80%の人に視野障害進行抑制の効果が現れるため、正常眼圧緑内障の治療にも薬剤を用います。

治療には点眼薬が使われますが、注射や点滴、内服により薬剤を投与することもあります。症状によってはレーザー治療や手術も行われます。

セルフケア

予防

一度、減少した視神経は回復しないので、早期発見・早期治療が重要です。年齢を重ねるほど発症者が増加するので、40歳を超えたら定期的に眼科検診を受けましょう。

まぶたを押したり、きつく目を閉じたりするなど、眼圧が上がるようなことをするのは避けましょう。

スマートフォンやパソコンの長時間使用も悪影響が考えられます。

監修

井上眼科病院院長

井上賢治

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