高眼圧症こうがんあつしょう
最終編集日:2023/9/25
概要
眼圧が高い状態がつづくものを高眼圧症と呼びます。眼球のなかは房水という液体で満たされていて、房水の産生と排出のバランスが保たれることで眼圧(目の内から外に向かう圧力)が一定に保たれています。房水の産生が多い、あるいは排出が十分でないと眼内の房水の量が増え、眼圧が上がってしまいます。
眼圧は10~21㎜Hgが正常値とされ、21㎜Hgを超える場合「高眼圧」と診断されます。高眼圧の状態がつづくと、視神経を障害して緑内障のリスクが高くなります。
原因
房水の産生が多い、排出が十分でないことが原因ですが、なぜそのような状態になるのかはわかっていません。服用中の薬の副作用、目の外傷が原因になることもあります。また、高血圧症との関連が考えられています。
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症状
自覚症状はありません。目の検査で眼圧が高いことを指摘されて見つかります。
検査・診断
眼圧検査で眼圧が高いことがわかったら、眼底検査、視野検査、視力検査、細隙灯顕微鏡検査などが行われます。房水の出口である隅角という部分が狭くなっている「狭隅角」が誘因として疑われる場合には、隅角鏡を用いた隅角検査も併用されます。
検査の結果、視野狭窄がなく、視神経に障害が起きていなければ、ほかの目の疾患が高眼圧の原因でないことを確認したうえで、高眼圧症と診断されます。
治療
治療は緑内障の予防を目的として行います。多くは半年から1年に1度受診して経過観察をつづけ、視神経に異常がみられたら眼圧を下げる目薬を用いることになります。視神経の強度は個人差があり、正常眼圧でも異常をきたして緑内障を発症するケースがある一方で、高眼圧でも視神経に障害が起こらず、緑内障に移行しないケースもあります。
一般的に以下のような場合、高眼圧症から緑内障に進行するリスクが高いとされ、視野や視神経の状態をみて治療を開始することがあります。
●眼圧24㎜Hg以上がつづく。
●強度の近視がある。
●高血圧症である。
●緑内障の家族歴がある。
しかし、治療開始のタイミングに関しては、医師によって判断が異なることもあります。
セルフケア
療養中
高眼圧症の人は、次のようなことに留意するとよいといわれています。
●一度に大量の水分(1L以上)をとることを控える。
●禁煙。
●首の周囲を締め付ける衣類を避ける。
●長時間、うつむいたり、頭に血が上る姿勢をつづけない。
そのほか、以下のような一般的に目に優しい生活を送ることで、ある程度は改善が期待できるかもしれません。
●パソコンやスマートフォンなどを見つづけない。1時間に1回は目を休ませる。
●暗いところで読んだり、画面を見たりしない。
●目の疲れを感じたら温めて血行をよくする。
●十分な休養、睡眠をとる。
監修
井上眼科病院 院長
井上賢治
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