ビジネスケアラーの介護うつを防ぐ
最終編集日:2024/12/16
少子高齢化が進む日本において、現在、仕事をしながら家族を介護する「ビジネスケアラー」が増えています。家族の介護をする人の約4割がビジネスケアラーで、その多くは親の介護をする50歳以上といいます。ビジネスケアラーの中には、仕事と介護の両立に疲弊してしまう人も少なくありません。
大切な家族でも、家族の介護には大きな負担が伴います。いつまで続くかわからない介護への不安、自分の時間がとれないいらだち、身体的・金銭的ストレス、認知症の親の言動への対応などで、精神的な負担が大きくなるとうつ病を発症してしまうこともあります。介護を原因とするうつ病は、一般的に「介護うつ」と言われています。介護うつは、日常生活や社会生活に支障を来す場合も多くあります。
●介護うつのサインとは?
介護うつの初期症状は、「食欲がなく、食べられない」「何度も目が覚めて眠れない」など、食事や睡眠がうまくとれなくなることがあげられます。また、「消えたい」といった気持ちになったりもします。これらは介護うつのサイン。心当たりがある場合は、早めに精神科や心療内科を受診しましょう。周囲の人も介護者の様子が「いつもと違う、おかしい」と感じたら、介護うつを疑って医療機関への受診をすすめてください。
真面目で几帳面、責任感が強い人や、心配りや気遣いがよくできる人は、介護の負担を一人で抱え込んでしまいがち。介護うつになりやすいので注意が必要です。
●介護うつにならないためには
介護の疲れによる精神的なダメージを防ぐには、一人で介護をがんばりすぎず、周囲のサボートを上手に受けることです。地域包括支援センターでは介護の専門家が相談にのってくれますし、病院では医療ソーシャルワーカーが、介護保険を利用する場合はケアマネジャーが、悩みを聞いてアドバイスしてくれますので相談してみましょう。一人だけで介護負担を負うのではなく、家族で負担を分担し、チームで介護をすることも大切です。
また、介護保険のサービスを受けることも介護負担の軽減につながります。夜間のトイレの介助などで睡眠を十分にとれていない場合は、定期的に介護保険のショートステイ(泊まりで預かってくれる施設介護)を利用するとよいでしょう。その間、介護者はゆっくり睡眠がとれるほか、泊まりの旅行も可能です。デイサービス(日帰りの施設介護)を利用すれば、日中、介護から解放されます。
さらに、好きなことに熱中するなど、自分なりにリフレッシュする方法を見つけて実行することも重要です。
介護うつは、介護をしている人なら誰でも発症する可能性があります。予防と早期発見で、重症化しないようにしましょう。
監修
丹沢病院 院長
関口 剛
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