認知症とうつ病を患う父への言葉かけに迷う
同居中の父が認知症とうつ病を患っていて、どう接すればよいのか困っています。腹が立つことがあっても怒らず、なるべく話を聞いてあげる姿勢で接していますが、何度も繰り返される会話や、何を話してもマイナスに捉えられてしまう状況に、母も私も疲れてきてしまいました。私は仕事もしているので介護との両立の疲れもあるのですが、父の相手をする機会が減ってきていて、この状況が余計、父の病状を悪化させるのではないかと心配です。
女性/30代
2021/12/21
病気の症状でお父様らしさが失われていくことや日々の変化に戸惑いながらも、よりよい介護をしたいという思いが伝わってきました。お父様と接する機会を減らすほど疲れているのは、「がんばりすぎないように自分のことをケアして」という体からのサインです。心身が疲労困憊してしまう前に、対策を考えていきましょう。
お父様には、なるべく怒らずに話を聞いてあげる姿勢で接しているとのことですが、とても望ましい対応をされていますね。ただ、それが毎日のこととなると、疲れてしまうのも当然かと思います。病気を抱える家族に接する際には、その病気の症状や特徴を知ることが大きな助けになるので、まずはお父様の主治医に、病気の症状や特徴、お父様の現在の状態について確認し、接し方で困っている点についても具体的に相談してはいかがでしょうか。また、接し方のコツや病気の知識などは、お住まいの地域の保健所が主催する家族教室や家族会などでも得られますので、参加してみるとよいと思います。
お父様は、要介護認定を受けていらっしゃいますか。すでに認定されている場合には、担当のケアマネージャーに現在の困りごとを相談されることをお勧めします。場合によっては、あなたやお母様が、お父様と少し距離を取ったり、休息したりする時間を確保するために、現在利用している介護サービス以外に利用できるものがないか、検討することも必要だと思います。
まだ認定を受けていない場合には、地域包括支援センターで困りごとを相談し、利用できるサービスについて確認してみましょう。サービスの利用が可能なら、デイサービスや訪問サービスなどを上手に利用するのも有効だと思います。お父様にとっては、家族以外の人とコミュニケーションを取ること、社会とつながっていること自体が刺激になり、心身の機能や日常生活の維持にもよい影響を与えます。また、そのようなサービスを利用する中で、家族とは違うかかわり方ができる専門家に、お父様も家族もサポートしてもらえることも利点となります。
介護をしていると心身の不調を抱えやすく、そのストレスと疲れは、お父様との関係や仕事を含めた日常生活にも影響を及ぼします。働きながら同居しての介護は、公私とも息つく間もないことでしょう。かつては「介護は家族がすべきもの」という考え方が主流であり、今もその考え方に縛られがちではありますが、近年は「家族もその人らしい生活が送れるように、相談支援や介護指導に加え、就労と介護の両立支援も求められる」と、介護者への支援も考えられるようになりました。ですから、職場の介護休暇や介護休業などの支援制度を確認し、必要に応じて会社の上司に家庭の事情を伝えておきましょう。仕事と介護を両立するための制度を知っておけば、タイミングよく手だてを打つことができるでしょう。
最後に、あなたの心身の状態を健やかに保つために、息抜きや気分転換を図る時間を定期的に取るようにしてくださいね。疲れを感じ始めた今こそ、家族だけでがんばらずに、「家族ができること」と「外部や専門家に任せられること」を必要に応じて組み合わせ、毎日を無理なく過ごしていきましょう。
回答者
保健同人フロンティアメディカルチーム
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