体臭

最終編集日:2024/1/19

概要

体臭はだれにでもあるものですが、通常は風呂やシャワーをあびて、下着や服を着替えていれば気になることは少ないはずです。それでも体臭の強さが気になる場合は、わきの臭いの異常である腋臭症、中年に発生する頭の後ろから首にかけて、使い古した油のような臭いがするミドル脂臭、あるいは中高年になると出てくる、枯草や古本のように臭う加齢臭と考えられます。

人の皮膚には皮脂を分泌する皮脂腺と、汗を出す汗腺があります。

汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」があり、分泌する汗もそれぞれ成分が異なり発生する臭いも違います。

全身に散らばっているエクリン腺からは成分のほとんどが水のサラサラとした汗を分泌します。一方、わきや性器周辺に多いアポクリン腺から分泌される汗は、水のほかにたんぱく質や脂質、脂肪酸などを多く含んでいます。こうした汗は分泌されたときは無臭ですが、皮膚にいる菌が酸化分解することにより腋臭症となります。


また、汗のなかの乳酸が、皮膚上の常在細菌(ブドウ球菌)に代謝・分解されることによってジアセチルが発生し、これがミドル脂臭になります。加齢臭の原因はノネナールであり、ノネナールのもととなるのは加齢とともに皮膚に増える9-ヘキサデセン酸、皮膚常在菌、過酸化脂質です。また、ヒトの抗酸化作用は加齢とともに低下し、活性酸素が増えます。その結果過酸化脂質が増えます。したがって活性酸素が減ればノネナールも減りますが、ストレス、喫煙、紫外線は活性酸素を増やします。

ほかにもさまざまな病気が原因で体臭が発生することがあります。例えば腎臓病ではアンモニアの臭いがして、糖尿病は甘酸っぱい臭いがして、甲状腺機能亢進症やパーキンソン病でも独特の体臭が出るといわれています。

以前と違う体臭を感じ、強くなっていくような場合は、からだのなかに何か異常が起きているのかもしれません。早い医療機関の受診が必要です。

受診の目安

医療機関を受診

・今までと違う体臭がするようになった

・体臭が徐々に強くなっている

様子をみる

・夕方になるとわきの臭いが気になる

・わきの臭いが気になるがシャワーを浴びると消える

・足を洗わないと臭くなる

セルフケア

毎日風呂やシャワーに入る、下着や服を着替えるなど、からだを清潔に保つことで腋臭症やミドル脂臭を抑えることができます。また、臭い止めのスプレーや塗り薬を利用することも効果が期待できます。ストレスをためない生活も心がけましょう。

食生活においては便秘、肉や油脂類のとりすぎ、酒の飲みすぎ、喫煙は体臭の原因となります。揚げ物を控え、肉は脂が少ない赤身肉や、鶏のささみがおすすめです。

便秘を防ぐために食物繊維、ヨーグルト、納豆などを積極的にとりましょう。

抗酸化作用を有する食物は活性酸素を抑えます。ビタミンC(ピーマン、パセリ、レモンやイチゴなど)、ビタミンE(魚介類やアーモンドなど)、アントシアニン(赤ワイン、ブルーベリーなど)、カテキン(緑茶、ココア)、βカロチン(緑黄色野菜)、リコペン(トマトやスイカなど)、イソフラボン(大豆、きな粉など)、セサミノール(ごま)、含硫化合物(ニンニク、玉ねぎ、ニラ、キャベツなど)、アスタキサンチン(鮭、さくらえびなど)。これらを食生活に上手に取り入れてみてください。

考えられる病気

監修

関東中央病院 皮膚科部長

鑑慎司

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