口腔カンジダ症(鵞口瘡)
こうくうかんじだしょう・がこうそう

最終編集日:2023/8/8

概要

鵞口瘡(がこうそう)とも呼ばれ、カンジダという真菌に感染して起こります。真菌は微生物で、真菌類にはカビや酵母も含まれます。原因としてもっとも頻度が高いのは、カンジダ・アルビカンスという口腔内の常在菌(ふだんから存在している)です。

病変の様子から「偽膜性」「紅斑性」「肥厚性」に分けられ、偽膜性の頻度がもっとも高く、肥厚性はまれです。偽膜性、紅斑性には、急性型と慢性型があり、肥厚性は慢性型に分類されます。

免疫力が不完全な生後2~3カ月の乳児や体力の低下した高齢者、そのほか、病気などで体力や免疫力の低下した人に好発します。感染がのどのほうに広がって、口腔咽頭カンジダ症になることもあり、また、カンジダ感染が口角炎の原因になることもあります。

原因

カンジダの感染症を起こす全身性の原因として、もっとも多いのが薬剤によるものです。抗菌薬の長期投与、ステロイド薬や免疫抑制薬、がん治療薬(分子標的薬など)などが原因薬剤として挙げられます。これらの服用により、通常の常在菌のバランスが崩れることが口腔カンジダ症の発症を招くとされています。そのほか、がん、糖尿病、腎不全、ヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV)などの疾患も原因となります。また、口腔内の原因として、口腔ケアが不十分な場合や唾液分泌量の減少(ドライマウス)などが挙げられます。とくに紅斑性は、口腔内のケア不足や乾燥が原因になることが多いようです。

症状

偽膜性口腔カンジダ症では、乳白色や灰白色の斑点や、苔(こけ)状の付着物が、口腔粘膜、歯肉、舌に現れます。ガーゼで白い部分をぬぐい取ったり、ピンセットで取ることができます。剥がれた後の粘膜は、正常色または赤くなったり(発赤)、ただれたり(びらん)します。白苔を剥がすと出血を起こすこともあるため、無理に剥がさないようにします。

紅斑性では、白い付着物はみられず、口腔粘膜に紅斑が現れ、舌表面の舌乳頭が萎縮して赤くなり、表面が滑らかになります。紅斑、舌乳頭萎縮はともに痛みを伴います。肥厚性では、偽膜性にみられる白い病変が剥がれにくく、徐々に粘膜上皮が厚くなります。

また、乳児ではミルクを飲む量が減ることがあります。

検査・診断

問診、視診でおおよその診断がつけられます。口腔内に類似の病変を起こす白板症や紅板症、扁平苔癬(へんぺいたいせん)などとの鑑別が重要です。

治療

抗真菌薬のうがい薬や外用薬を用いて感染を抑えます。内服薬を併用することもあります。口腔乾燥が原因の場合は、保湿ジェルやマスクを使用します。痛みが強い場合は、鎮痛薬を用いることもあります。口腔内を清潔に保つことも重要で、治療と並行して口腔ケアの徹底、唾液分泌量の促進を行います。

セルフケア

予防

日頃から口腔ケアをしっかり行い、口腔内を清潔に保つようにします。乳児の場合は、哺乳瓶など、乳児が口にするものをこまめに消毒して感染を予防しましょう。

唾液の分泌を促すには、歯磨きで口腔内を刺激する、よくかむ、レモンなど酸味の強い食材をとるなどを心がけましょう。他疾患で治療中の場合は、薬の影響だけでなく、飲水の制限や絶食などで口腔内の環境が保てない事態も起こり得ます。医療チームの指導の下で、十分なケアができるように状況を整えましょう。

監修

新高円寺はっとり歯科医院 院長

服部重信

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