口角炎こうかくえん
最終編集日:2022/4/1
概要
唇の左右両端部分の口角に炎症が起き、赤く腫れ、ジクジクし、皮がむけるといった状態を口角炎といいます。子どもから高齢者まで幅広い世代に発症します。乾燥などで口角が裂け、その亀裂から真菌(カンジダ)の感染を起こすと、治療が長引き、再発しやすくなるのも特徴です。アトピー性皮膚炎や貧血、糖尿病などに合併して生じることもあり、疲労やストレスによる免疫力の低下や、肝障害やがんなどの重篤な疾患が原因となることもあります。
原因
口角炎の原因のひとつには、カンジダ菌による感染があります。カンジダ菌はカビの一種である真菌で、通常は皮膚にカンジダ菌が付着しても問題ありませんが、疲労やストレスで免疫機能が低下すると増殖し、口角炎をひきおこします。細菌感染やビタミンB2欠乏などの栄養不足、アルコールの多飲や化粧品の刺激が原因となることもあります。
また、がん、糖尿病、胃腸障害や肝障害、抗菌薬(抗生物質)の服用など、治療中の薬剤によって口角炎が起こりやすくなる場合もあります。アトピー性皮膚炎による皮膚の乾燥などでバリア機能や潤いが低下した場合にも、口角炎が生じやすくなることがあります。
症状
症状は、赤みや腫れとともに、乾燥した状態のものから、ジクジクと湿った状態のものまでさまざまです。多くは痛みを伴い、口の開閉によって痛みが増して亀裂がさらに深くなることもあります。
カンジダ菌の感染による口角炎では、亀裂とともに、皮膚の表層が大小の角質片となってはがれ落ちる落屑があり、出血が起こることもあります。亀裂のある患部にはかさぶたが形成されますが、口角は唾液により湿った状態になりやすく、会話や飲食時などに口を大きく開けるとかさぶたがはがれ、亀裂がさらに深くなることもあります。
口角炎が一度発症すると、同じ場所に再発しやすくなる特徴があります。
検査・診断
口角炎の診断は、患部を視診することで確定できます。
カンジダ菌などの感染が疑われる場合は、口角炎の組織の一部や浸出液などの真菌検査や培養検査を行い、原因菌を特定することがあります。化粧品などによるかぶれが疑われるときはパッチテスト(皮膚のアレルギーテスト)で原因物質を調べます。さらに、口角炎が原因となる内科的な疾患の有無を確認するために、血液検査や画像検査などが行われることもあります。
治療
口角炎の治療は、菌への感染の有無や原因によって異なります。感染の可能性がない場合には、ワセリンなどを塗って付着物からの刺激を避けるようにします。さらに、保湿や鎮痛のための塗り薬やステロイド軟膏を用いたり、ビタミン不足が疑われるときはビタミンB2やB6などを内服したりします。細菌感染が起きている場合には抗菌薬、カンジダ感染の場合には抗真菌薬の塗り薬や飲み薬を使用します。口角炎の原因となっている疾患がある場合は、その疾患に対する治療を同時に行います。
セルフケア
療養中
口角炎ができてしまったら、会話や食事のときに大きく口を開けたり、舌でなめたりすることは控えましょう。また、かさぶたをはがすことなどは悪化の原因になります。口角や口腔を清潔に保つように心がけ、歯磨き粉や化粧品などの洗い残しがないように注意します。口角炎ができてしまったら、会話や食事のときに大きく口を開けたり、舌でなめたりすることは控えましょう。また、かさぶたをはがすことなどは悪化の原因になります。口角や口腔を清潔に保つように心がけ、歯磨き粉や化粧品などの洗い残しがないように注意します。
予防
口角炎にならない、再発させないために次の点に注意しましょう。
・乾燥予防と感染予防のために、唇や口角をなめない、触らない
・日頃からワセリンやリップクリームで保湿して、口角の潤いを保つ
・免疫力維持のために、十分な睡眠をとるとともにストレスや疲労をためない
・食事では意識的に、レバー、牛乳、緑黄色野菜などのビタミンB群をとる
監修
新高円寺はっとり歯科医院 院長
服部重信
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