アルコール依存症
あるこーるいぞんしょう

最終編集日:2022/1/11

概要

アルコール依存症とは、酒の飲み方を自分でコントロールできず、精神的・身体的に依存してしまう薬物依存症の一種です。

アルコールを多量に摂取しつづけると脳の神経回路が変化し、理性が働かなくなるほど酒を欲するようになります。体内からアルコールが抜けると、手足のふるえ動悸など身体症状が現れるのも特徴です。

性格や意志の問題ではなく、精神疾患のひとつと考えられ、日本では約100万人以上の患者さんがいると推定されています。

原因

アルコールを摂取しつづけていると脳がアルコールに慣れていきます。それが習慣になると、常に体内にアルコールが入った状態でも脳は正常な状態であると認識し、しだいに神経回路の機能が変化していきます。

アルコール依存症は、そうした習慣的なアルコールの過剰摂取がおもな原因で起こります。そして、血液中のアルコール濃度が下がると生体機能のバランスが崩れ、離脱(禁断)症状が現れるようになります。

継続的な多量飲酒にいたるきっかけとしては、アルコール分解能力の高い体質、遺伝や家庭環境、未成年のうちからの飲酒のほか、うつ病や不安障害などの精神的な苦痛をやわらげるために飲酒をしているうちに、摂取量が増えてしまうといったケースがあります。

女性のほうが男性より短期間で依存症になりやすいともいわれています。

症状

アルコール依存症の症状には「耐性」「精神依存」「身体依存」の3つがあります。


●耐性

アルコールに対する慣れが生じて飲酒量が増えること、すなわち「酒に強くなる」ことを指します。


●精神依存

理性では抑えが働かない強い飲酒欲求が生じる状態のことをいいます。

摂取量をコントロールできず、時間や状況を考えずにアルコールを探し求めるようになり、日常生活や仕事、社会生活に影響が及ぶことがあります。また、酒を飲むことが最優先となり、酒代のために借金をしたり、家族・人間関係のトラブルや飲酒運転などの問題につながったりすることがあります。


●身体依存

アルコールの習慣的な過剰摂取が続くと脳の神経回路が変化し、その状態が正常であるかのように適応するようになります。その後、血液中のアルコール濃度が低下すると神経のバランスが崩れ、身体依存としてさまざまな離脱(禁断)症状が現れます。

おもな離脱症状には手足のふるえ、動悸、発汗、頭痛、高血圧、不眠、イライラ感、不安感などがあります。ひどい場合にはけいれん発作や幻覚、幻聴がおこることもあります。


アルコール依存症は、ほかにも肝炎、肝硬変、膵炎、脳萎縮、生活習慣病、食道がん大腸がんなどといったからだの疾病の原因となったり、うつ病、不安障害、パニック障害など精神科の合併症をひきおこしたりすることがあります。

また、妊娠中の女性の飲酒は、生まれてくる赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があります。

検査・診断

日頃の飲酒歴や症状など、本人だけでなく家族や身近な人から話を聞くことも大切な診断材料となります。それらとあわせ、日本ではWHOの診断基準(ICD-11)に基づき、下記6項目のうち過去1年間に3項目以上満たす場合にアルコール依存症と診断されます。


1)状況にかかわらず、強い飲酒欲求を感じたことがある

2)飲酒にまつわるコントロールができない

3)飲酒をやめたり量を減らしたりすると、手足がふるえる、発汗などの離脱症状がある

4)習慣的な飲酒により、アルコールに強くなった、飲酒量が増えた

5)酒を飲むことが最優先の生活になる、趣味などへの関心が薄れる

6)依存症の症状があり、アルコールのせいとわかりながら飲酒をつづけてしまう

治療

精神依存と身体依存から回復するために「断酒」をめざします。まずは本人の「断酒しよう」という意志が大切です。初めは通院治療が考えられますが、重度の場合や合併症がある場合には入院が必要なケースがあります。

離脱症状は、およそ数日から2週間ほどつづきます。症状を緩和するために、断酒初期においては抗不安薬が用いられます。

離脱症状が落ち着いたら、リハビリテーションとして、依存症の程度に応じて心理・社会的治療が試みられます。なかでも、認知行動療法や動機付け面接法、コーピングスキルトレーニングなどが有効とされています。

同時に、抗酒薬として断酒を維持するための薬、飲酒量を低減するための薬を用いた薬物療法も併用されます。

また、断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)といった自助グループに参加し、断酒のためだけでなく仲間との交流を通した心理・社会的な回復を図ることもすすめられています。

セルフケア

予防

飲酒の際には適量を心がけることがいちばん重要です。再発することが多い病気のため、依存症が疑われる場合には本人や家族だけで悩まず、軽症のうちに専門医を受診しましょう。

監修

赤坂溜池クリニック院長

降矢英成

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