掌蹠膿疱症
しょうせきのうほうしょう

最終編集日:2024/6/24

概要

手のひらや足の裏に、小さい水ぶくれやうみをもった発疹(膿疱)がばらばらと現れます。うんでいても、細菌や真菌による感染性のものではありません。慢性に推移し、症状はよくなったり悪くなったりします。

掌蹠膿疱症の患者さんの10~30%に骨関節炎が生じるとされ「掌蹠膿疱症性骨関節炎」と呼ばれます。

原因

患者さんの多くに、扁桃炎、中耳炎、副鼻腔炎、むし歯歯周病などのほかの部位の感染病巣(症状がない場合も多い)がみられ、これらの存在が誘因になると考えられています。そのほか、喫煙や精神的ストレスも発症に関係するといわれます。

症状

発疹は赤い水ぶくれから始まり、すぐに膿疱になって、かさぶたとなります。角質が分厚くなることもあります。手のひらでは親指、小指、足の裏では土踏まず(足底弓蓋)、かかとから始まることが多いようです。

そのほか、ひざやすね、ひじなどにも発疹が現れる場合があります。かゆみや、足の裏の発疹ではひりひりした痛みを伴うこともあります。爪の変形がみられることがあります。

掌蹠膿疱症性骨関節炎を発症すると、胸部や首、背中などが腫れて痛みます。胸骨や鎖骨に症状が出ることが多いです。

検査・診断

問診と視診ののち、発疹が細菌性・真菌性のものでないか、膿疱の内容液を採取して検査します。骨関節炎を疑う場合には、X線検査、CT・MRI・骨シンチグラフィなどの画像検査で精査します。誘因となる感染病巣の存在を確認することも大切です。

異汗性湿疹、接触皮膚炎白癬(水虫)乾癬などでも同様の症状が出るので注意が必要です。

治療

禁煙が効果的です。発疹に対して、ステロイド外用薬、活性型ビタミンD3外用薬がまず用いられますが、無効例には皮膚の過剰な免疫反応を抑える働きをもつ紫外線療法、ビタミンA類似物質製剤や免疫抑制剤の飲み薬などを使用します。さらに重症例には生物学的製剤の注射や扁桃を摘出する手術をすることもあります。

掌蹠膿疱症性骨関節炎を伴う場合、消炎鎮痛薬、ビスホスホネート製剤、抗リウマチ薬などが併用されます。

感染病巣があれば、その治療も大切です。耳鼻咽喉科、歯科など、原因疾患の専門科と連携して治療が進められます。

セルフケア

予防

掌蹠膿疱症の予防には禁煙や口腔ケアが不可欠です。また、扁桃炎、副鼻腔炎、むし歯などがあれば、きちんと治療することが大切です。下痢や便秘があれば改善に努めましょう。

なお、歯科治療の際に使われる金属のアレルギーが掌蹠膿疱症を引き起こすことがあるといわれる一方で、歯科金属を除去しても掌蹠膿疱症が治らないという報告もあります。

監修

関東中央病院 皮膚科 部長

鑑慎司

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