脂漏性角化症しろうせいかくかしょう
最終編集日:2023/3/24
概要
脂漏性角化症は、全身のさまざまな部位に生じる良性のイボ状の皮膚腫瘍です。
肌の老化現象のひとつで、中年期以降、加齢とともに増加するため、老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)、または老人性イボともいわれます。
表面にややざらつきがあり、大きさは数mmから2~3cm程度、形状はさまざまで、少し盛り上がったものから、顕著に飛び出すものもあります。シミと混在することが多く、シミだったものが脂漏性角化症となることもあります。
脂漏性角化症は悪性化してがんになることはないものの、自然に消失することもありません。ただし、まれに悪性黒色腫(メラノーマ)、基底細胞がん、日光角化症といった皮膚の悪性腫瘍との鑑別が問題になることがあるので注意が必要です。
原因
おもな原因は、紫外線の影響や皮膚の老化です。紫外線にあたると、皮膚は肌を守るためにメラニン色素をつくります。メラニンが加齢とともに表皮に蓄積されてシミになります(老人性色素斑)。さらに、紫外線の影響で表皮細胞が増えて盛り上がるようになり、それが脂漏性角化症になります。
症状
形状は、表面にざらつきがあり、数mmから2~3cmの大きさで、やや盛り上がっているのが特徴です。表面は乾燥していて乳頭状や顆粒状になっているものが多くみられます。色は褐色から黒色までさまざまです。手のひらや足の裏にはまずできません。
通常かゆみや痛みは伴いませんが、ときにかゆみが出ることがあります。
脂漏性角化症が皮膚がんになることはまずありません。しかし脂漏性角化症が短期間に多数出現した場合は内臓に悪性腫瘍がある可能性があります。
検査・診断
脂漏性角化症のほとんどは、視診によって診断が可能です。ダーモスコピー(ライト付きの特殊な拡大鏡)で皮膚の状態を観察すれば、脂漏性角化症とそれ以外の皮膚病変を区別しやすくなります。それでも角化や黒色調を呈するほかの皮膚の悪性腫瘍と鑑別するのがむずかしい場合には、組織を採取して調べる生検を行います。
治療
良性の腫瘍であるため、必ずしも治療は必要ではありません。見た目を気にして治療を希望する患者さんには、液体窒素を使った凍結療法や外科的切除、炭酸ガスレーザー治療などによる除去を行います。第一選択となるのは液体窒素を用いた凍結療法で、麻酔の必要もないため簡単に行えます。ただし、1回の施術では除去しきれないため数回の施術を行う必要があります。
凍結療法で効果が不十分な場合は、外科的切除や炭酸ガスレーザー治療を行うこともあります。
セルフケア
予防
脂漏性角化症の予防法として、紫外線対策が重要です。若い頃から野外活動やスポーツ、外出の際などは日焼け止めを使用しましょう。また、日傘や帽子、UVカットの衣服などを使用するのもよいでしょう。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑慎司
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