アルコール依存症は早期治療の傾向 ~在宅勤務のリスクも!

最終編集日:2022/9/5

●潜在的患者と通院患者数のギャップが大きい

アルコール依存症は、潜在的な患者さんが約80万人いるといわれています。しかし、通院者は5万人ほどで潜在的な患者数と実数とのギャップが大きい疾患です。また、通院中の人は10対1ほどの割合で男女比は圧倒的に男性が多くなっています。

そして、病院に行けば、完全にお酒を断たなければならないという恐怖などから受診を嫌がる場合が多く、また「自分はアル中ではない」と主張する人が多くみられ、以前から「否認の病気」ともいわれてきました。


●軽度の依存は「アルコール使用障害」~診断基準の変化

かつては来院するのは重症の患者さんが多かったのですが、昨今は比較的軽症の患者さんも治療をすべきという傾向が強くなってきています。アルコール依存症ではなく「アルコール使用障害」と表現されるようになり、さらに軽症・中症・重症に分けて対処するなど、診断基準も変化しています。

早い段階、軽症のうちに対処できれば、服薬でアルコールの量をコントロールすることができる場合もあります。もちろん、重症の人にはこの方法は通用しませんが、従来の断酒治療だけでなく、節酒という治療方法も広がってきているといえると思います。


●昼間から飲める環境にある在宅勤務の危険性

会社などの、飲めない環境に身をおくためには、お酒をやめようとする気力が必要です。しかし、会社にいれば上司の目などもあり、終業までは自動的に断酒することになり、自然と酒量は減ってきます。仕事を失う恐れがあれば、それがプレッシャーになり、簡単にはお酒が飲めないのです。

しかし、在宅勤務によって生じる、人目を気にせずにお酒が飲める環境は、断酒への気力に乏しいアル中の人を増やしました。酒量を減らしたい人にとっては、昼間は会社に行く環境のほうが適しており、リモートワークはよい環境とはいえません。このように、断酒や節酒の試みの多くは、環境に左右されます。

監修

大石クリニック 院長

大石雅之

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