さまざまな食品を食べて認知症予防を

最終編集日:2023/11/30

「○○を毎日食べて認知症予防!」といったうたい文句で、特定の食品や栄養素がクローズアップされることがあります。思わず飛びつきそうになりますが、実は認知症予防には、毎日多様な食品を食べていることが重要になるようです。それを示す研究成果が明らかになってきています。


●多様な食品を食べることが認知症の発症リスクを下げる


多様な食品を食べていると栄養のバランスが良好になるため、健康を維持したり、筋肉量を維持・増加させて健康寿命を延ばしたりすることにつながります。これは以前からいわれてきたことですが、認知症予防の観点からも有意義であることが、国立長寿医療研究センターと国立がん研究センターが共同で行った大規模な調査・研究によって明らかになりました。

特に女性でその傾向が顕著で、1日に摂取する食品の種類が最も多いグループは、最も少ないグループに比べて認知症発症のリスクが33%低下していました。このことは、中高年期の女性において多様な食品を食べることが将来の認知症を予防する可能性を示しています。多様な食品を食べることがなぜ認知症予防につながるのかは、脳内の栄養状態がよくなるからではないかと考えられています。


●女性と男性では効果が違う!?


一方、男性においては女性ほど顕著な予防効果が認められませんでした。ただし、ひとり暮らしの男性に限ると、女性と同じような傾向がありました。なぜこのような差が出たのか、今のところ原因は不明ですが、女性やひとり暮らしの男性は多様な食品を摂取するための食行動(献立を考えたり、料理をするなど)をとるので、それが認知機能の維持につながっているのではないかと推察されています。


●「さあにぎやか(に)いただく」で多様な食品を食べよう


高齢期の食品摂取の多様性と認知機能や認知症との関連を検討したほかの研究においても、多様な食品を食べることが認知機能の低下や認知症の予防に関わることが示唆されています。

では、実際に多様な食品を食べるためには、どのようにしたらよいのでしょうか。指標になるものとして、東京都健康長寿医療センター研究所が開発した「食品摂取の多様性スコア(DVS)」を紹介しましょう。これは、主食や嗜好品を除き、私たちがふだん食べている主菜、副菜、汁物の約80%を占める10の食品群の摂取頻度を点数化するものです。

10の食品群とは「さかな(魚介類)、あぶら(油脂類)、にく(肉類)、ぎゅうにゅう(牛乳)、やさい(野菜)、かいそう(海藻類)、いも(芋類)、たまご(卵類)、だいずせいひん(大豆製品)、くだもの(果物)」です。これらの頭文字をとって「さあにぎやか(に)いただく*」と覚えるとよいでしょう。食品群ごとに食べたら1点と数え、1日の合計点を出します。点数は高いほどよいのですが、毎日7点以上とることを目標にしましょう。


*「さあにぎやか(に)いただく」は、東京都健康長寿医療センター研究所が開発した食品摂取の多様性スコアを構成する10の食品群の頭文字をとったもので「ロコモチャレンジ!推進協議会」が考案した合い言葉。

監修

東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加とヘルシーエイジング研究チーム

横山友里

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