長引く鼻水・鼻づまりは副鼻腔炎かも

最終編集日:2024/12/23

かぜ花粉症などによる鼻水鼻づまりの症状も、長引くときは要注意。副鼻腔炎を引き起こしている可能性があります。副鼻腔炎の患者数は、年間約100~200万人といわれ、約100人に1人の割合になります。単なる鼻水・鼻づまりと放置せず、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。特にアレルギー性鼻炎や喘息のある人は、副鼻腔炎になりやすいばかりか、副鼻腔炎になると慢性化して治りにくくなるので注意が必要です。


●副鼻腔炎とは

副鼻腔炎は、鼻の奥にある副鼻腔という空間に侵入したウイルスや細菌に感染することによって、炎症や膿が生じる病気です。ウイルスや細菌に感染して副鼻腔の粘膜が腫れると、十分に空気が届かなくなり、副鼻腔内で鼻水や膿がたまって細菌が増え、炎症がさらに悪化します。

多くは、かぜをひいたときにウイルスや細菌に感染して発症しますが、花粉などによるアレルギー性鼻炎があるとさらに悪化します。代表的な症状は、粘度のあるドロドロした鼻水、鼻づまり、頭痛、額や鼻周囲の痛みや重苦しさです。

こうした副鼻腔の炎症による症状が、1カ月以内で治まれば「急性副鼻腔炎」、3カ月以上続く場合は「慢性副鼻腔炎」と診断されます。急性副鼻腔炎から慢性副鼻腔炎へ移行してしまうと、常に粘度のある鼻水や鼻づまりがあり、臭いがわかりづらくなることもあります。重症化すると、目の奥の痛み、奥歯の痛みなどの症状が現れたりします。さらに放置すると、鼻茸(はなたけ)というポリープができて鼻づまりがさらにひどくなることもあります。

慢性副鼻腔炎のほとんどはウイルスや細菌によって起こるものですが、最近では白血球の一つである好酸球が副鼻腔で炎症を起こす「好酸球性副鼻腔炎」も増えています。好酸球性副鼻腔炎は嗅覚障害になりやすく、気管支喘息を起こしたり悪化させたりすることもあります。


●副鼻腔炎の治療法

ウイルスや細菌感染による副鼻腔炎の治療では、細菌の増殖を抑え、抗炎症作用のあるマクロライド系抗菌薬が使われるのが一般的です。この薬を少量、長期間服用することで症状が改善していきます。しかし、薬で改善しない場合は、ポリープや腫れた粘膜を切除する手術が検討されます。

急性副鼻腔炎のうちに薬を服用すれば、ほとんど完治します。しかし、慢性副鼻腔炎になると治療に時間がかかるので、鼻水や鼻づまりが続く場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。


監修

東邦大学医療センター大橋病院 耳鼻咽喉科 教授

吉川 衛

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