新型コロナウイルスの変異のしくみと影響

最終編集日:2022/10/17

●変異とはウイルス複製の際の間違い


新型コロナウイルスは一本鎖RNAウイルスというタイプで、遺伝子としてはもともと非常に弱く、変異しやすい性質を持っています。同じ一本鎖RNAウイルスであるインフルエンザウイルスは毎年のように変化しています。新型コロナウイルスが変化するのも当然なのです。

変異が起こる要因はさまざまです。遺伝情報を伝えるRNAは非常に不安定な性質を持っており、熱や紫外線などによって変性します。また、ウイルスが人の体内に入って自らの遺伝子を元に複製(コピー)が起こる際、誤った複製が行われても一本鎖RNAウイルスは修正機能を持っておらず、誤りがそのまま混じった子ウイルスができます。これがウイルスの変異となります。


●感染力を高めつつある変異ウイルス。人体への影響は?


変異自体は完全にランダムに起こるもので、変異によってできたウイルスはほとんどの場合、生存に適さないものとなるため、そこで死滅してしまいます。しかし、時として人間界での生存に適した、安定したウイルスができることがあります。そのウイルスがより強い感染力を持つ場合、それまでのウイルス株を駆逐して一気に広がることになります。

新型コロナウイルスのおもな変異株の傾向みると、徐々に感染力が高くなってきていることがわかります。つまり、それ以前のウイルスを駆逐して広がる拡散力を持ったウイルスが選択されてきていると思ってよいかと思います。


変異の影響としては、それが感染したときの症状にどのように影響するのか(重症化するのか)、また治療薬がこれまで通り効くのかといった問題が付随してきます。治療薬についても新しい変異株が出るたびに有効性が評価されてきています。

幸いにも、日本での流行は諸外国に遅れて起きることが多いため、諸外国から出てきたデータをもとに、治療戦略を立てていくことが多くなっています。


※2022年10月15日時点の内容です。

監修

横浜市立大学附属病院感染制御部 部長

加藤英明

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