流行性角結膜炎
りゅうこうせいかくけつまくえん

最終編集日:2023/1/26

概要

アデノウイルスによる目の感染症で、角膜(黒目を覆う膜)や結膜(白目やまぶたの内側を覆う膜)に炎症が起こります。「はやり目」とも呼ばれます。夏に多く、1~5歳の小児に好発しますが、基本的に年齢による罹患の差はありません。

5類感染症定点把握疾患に定められており、全国約600の眼科から毎週、感染者数の報告がなされています。なお、はやり目として、咽頭結膜炎(プール熱)、急性出血性結膜炎を含めることもあります。

原因

おもにアデノウイルスD種(8型、19型、37型など)が原因となります。手指を介した感染がほとんどです。患者さんが使ったタオルや日用雑器に触れ、その手指で無意識に目をこすったりして感染します。

症状

潜伏期間(1~2週間)を過ぎると、目の充血、流涙、目やに(透明でサラサラしている)、まぶしさ、目のかゆみ、ごろごろした感じ、まぶたの腫れが急に現れます。最初の感染は片方の目ですが、感染力が強いため、もう片方も感染することが珍しくありません。角膜の炎症が強い場合には、角膜に点状の混濁が現れることがあります。

目以外の症状として、耳前リンパ節(耳の下のリンパ節)の腫れや圧痛などが現れることもあります。

検査・診断

症状や問診から診断はつきますが、病原体の検出のために目やまぶたをこすって体液を採取することもあります。

咽頭結膜熱や出血性結膜炎などのほかのウイルス感染によるものや、細菌、真菌、アカントアメーバなど、ウイルス以外の感染症との鑑別が必要です。

治療

現時点でアデノウイルスに対する薬剤はないため、抗炎症薬や、ほかの細菌の混合感染を防ぐ目的で抗菌薬の点眼薬を用います。角膜の混濁がある場合には、ステロイドの点眼薬を併用します。

セルフケア

予防

アデノウイルスはおもに手指を介して感染します。感染力が強いため、学校保健安全法では、医師の指示があるまで登校は禁止されています。また、成人の場合の出社も控えるようにします。

家庭内や職場で感染が起きたら、次のようなことに留意します。


●できるだけ目や目の周辺に触れない・こすらない

●手を常に清潔に保つ

●タオル、枕、ティッシュの箱などは別にする

●感染者は、目に触ったら石けんで手を洗う

●感染者はシャワーのみにすることが望ましい。湯船につかるなら、最後に入る

●点眼薬を差すときに、容器に目が触れないようにする

●ほかの人は感染者が使う点眼薬の容器に触らない

●できるだけほかの人との接触を避ける

●医師の許可があるまではプールに入らない


流行性角結膜炎は治療を行わなくても1~2週間程度で治癒していきますが、感染力の強い感染症です。やはり受診して、適切な治療を受け、周囲に感染を広めないように努めましょう。

監修

井上眼科病院 院長

井上賢治

この傷病に関連したQ&A

本サービスに掲載される情報は、医師および医療専門職等の監修の元、制作しております。監修者一覧および元となる情報はこちらからご参照ください。
みんなの家庭の医学 アプリイメージ
アプリでも

みんなの家庭の医学

歩数ゲームやデイリーアドバイス、無料健康相談が利用可能

QRコード

※ご所属先が本サービスを契約いただいている場合のみご利用いただけます。