強膜炎きょうまくえん
最終編集日:2022/4/7
概要
強膜は眼球の外側を覆う乳白色の膜で、「白目」の部分にあたります。光をあまり通さず、外壁となって眼球を守っています。
強膜炎は、何らかの原因で強膜に炎症が起こる病気で、感染性と非感染性があります。病変が現れる場所によって、上強膜炎、前部強膜炎、後部強膜炎に、また病態によって、びまん性、結節性、壊死性に分けられます。
原因
感染性の強膜炎は細菌や真菌によってひき起こされます。頻度はあまり高くありません。外傷や眼科の手術後に感染するケースがみられます。
非感染性の強膜炎は、全身性の疾患が原因になります。関節リウマチ、膠原病、結節性多発動脈炎、多発血管炎性肉芽腫症など、自己免疫性で結合組織に異常が現れる疾患が、おもな原因となります。
症状
強膜炎のおもな症状は目の疼痛と充血です。疼痛は顔に広がって目の周辺が痛む場合もあります。そのほか、羞明(まぶしい)、涙目、眼球運動障害、視力障害などを伴います。
強膜の表面にある上強膜に炎症が起きる上強膜炎では、症状がそれほど強くない場合もあります。
検査・診断
目の痛みが強いことに加えて、強膜炎では特徴的な充血がみられるため、眼球の様子をみておおよその診断がつきます。そのほか眼底検査、細隙灯顕微鏡検査、超音波検査やCT検査(後部強膜炎の場合)などが行われます。感染性の強膜炎が疑われる場合には、眼内液を採取して原因を特定します。
全身性の疾患を疑う所見があれば、リウマチ科など、当該の専門科と連携して原因疾患を特定します。
治療
感染性の強膜炎では、抗菌薬や抗真菌薬などで原因となる細菌や真菌に対処します。点眼薬や内服薬が用いられ、原因菌が不明な場合には、複数の薬を使うこともあります。
非感染性の強膜炎の場合、ステロイド薬の内服で炎症を抑えるのが治療の基本です。
原因となる全身性の疾患があれば、その治療も行います。
ステロイド薬であまり効果がみられない場合や再発をくり返す場合には、免疫抑制薬を用いることもあります。
セルフケア
予防
強膜炎のほとんどは強い目の痛みにおそわれます。また充血も強いため、驚いて眼科にかけ込むケースが多いようです。なかには上強膜炎のように症状が強くない場合もありますが、目に違和感があれば、早めに受診することが肝心です。
近年、「IgG4関連眼疾患」という概念が新しく提唱されており、後部強膜炎と診断されたもののなかにIgG4関連眼疾患が含まれている可能性が指摘されています。治療法の見直しなどを含めて、今後のさらなる臨床研究が待たれます。
監修
井上眼科病院 院長
井上賢治
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