角膜炎かくまくえん
最終編集日:2023/1/20
概要
角膜は黒目の部分を覆う薄い膜で、この部分に細菌やウイルス、真菌(カビ)などが感染して炎症が起きた状態が角膜炎です。炎症を起こす原因菌によって、細菌性角膜炎、真菌性角膜炎、ヘルペス性角膜炎(ヘルペスウイルスによる)、アカントアメーバ角膜炎(アカントアメーバという微生物による)などがあります。
目に起こる炎症として「結膜炎」がありますが、感染が起こる場所が異なります。
原因
角膜のもっとも外側には角膜上皮と呼ばれる組織があり、細菌などの侵入を防ぐなど、角膜を守る役目をしています。しかし何らかの原因で角膜上皮に傷がつくと、そこから細菌などに感染しやすくなります。角膜が傷つく原因として、ごみ、土ぼこりなどの異物、枝や葉が目に入る、コンタクトレンズの不適切な使用・管理などが挙げられます。また、ドライアイが継続すると角膜に傷がつきやすくなります。
アカントアメーバ角膜炎をひきおこすアカントアメーバは、土壌、川などの水辺に生息し、洗面所で見つかることもあります。ヘルペス性角膜炎の原因となるヘルペスウイルスは、初感染を起こした際に神経節に潜んでいたものが再活性化して、角膜に炎症を起こします。全身の感染症や過労・ストレスなどで体力が低下したときに、再活性化が起こりやすくなります。
症状
目に強い痛みが現れるのが特徴です。そのほか、充血、目の違和感(ごろごろする)、涙、大量の目やに、視力低下などの症状が出ます。細菌性角膜炎では、黒目の一部が白く濁ることがあります。
検査・診断
フルオレセインという色素を点眼し、細隙灯顕微鏡で角膜の傷の様子をくわしくみます。また、感染源の特定のために、培養検査(涙をとって調べる)、塗抹検査(角膜をこすって組織を調べる)などが行われます。
治療
感染の原因によって治療法が異なります。
●細菌性角膜炎……抗菌薬の点眼薬で治療します。重症の場合は内服薬、点滴も用いられます。
●真菌性角膜炎……抗真菌薬の点眼薬に、内服薬あるいは点滴を併用します。治癒するまで時間がかかることも少なくありません。
●ヘルペス性角膜炎……抗ウイルス薬の眼軟膏を用います。
●アカントアメーバ角膜炎……アカントアメーバに直接効く薬がないため、抗真菌薬を用います。効果がみられない場合には、角膜の病変部を削る処置を行いますが、治りにくいとされています。
セルフケア
予防
角膜炎で頻度の高い誘因として、コンタクトレンズがあります。コンタクトレンズやレンズケースは清潔に保ち、使用期間を守る、定期的に検診を受けるなどで予防に努めましょう。とくにアカントアメーバ角膜炎のほとんどはコンタクトレンズが原因といわれます。アカントアメーバは水道水にも存在しています。きちんと管理して清潔を保っていれば問題はありませんが、管理が不適切だと、汚染されたコンタクトレンズを装用するリスクが高くなります。頻度の高い角膜炎ではありませんが、一度かかると特効薬がなく、治癒までに時間がかかります。
コンタクトレンズを使用していなくても、目やその周辺を触るときは手指を清潔にしましょう。ドライアイがあればパソコンやスマートフォンの連続使用を避ける、ドライアイ用の目薬を使う、目の周辺を温めるなどで改善に努め、角膜炎の予防につなげましょう。
監修
井上眼科病院 院長
井上賢治
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