急性中耳炎きゅうせいちゅうじえん
最終編集日:2024/6/18
概要
中耳炎は、鼓膜の奥にある「中耳腔」という場所が、細菌やウイルスに感染して炎症を起こす病気です。急性中耳炎、慢性中耳炎、滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎、好酸球性中耳炎など、いくつかのタイプに分類されます。
急性中耳炎は耳からのど、そして鼻までをつなぐ「耳管」経由で原因菌が侵入します。かぜやインフルエンザなど、上気道(鼻からのどにかけての呼吸器)の感染症がきっかけとなることが多いようです。成人でも発症しますが、乳幼児に多くみられ、2歳までに90%以上がかかるともいわれます。成人に比べて耳管が太く短く、水平に近いために、鼻やのどから細菌などが侵入しやすいこと、耳管の換気機能が未熟なことなどが、子どもの発症頻度の高さの理由と考えられています。
原因
原因菌として、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスが3大起炎菌として挙げられ、この3つで約70%を占めるといわれています。
症状
急に、耳の痛み、耳だれが現れます。耳閉感や聞こえにくさを伴うこともあります。かぜやインフルエンザなどの上気道感染症の後にこれらの症状がみられたら、急性中耳炎が疑われます。乳幼児の場合は、泣く、不機嫌な様子から発症に気づくこともあります。
検査・診断
問診ののち、耳鏡(じきょう)で、外耳や中耳、鼓膜の様子や炎症の広がり具合などをみます。急性中耳炎では、鼓膜が赤く腫れ、重症になると化膿します。抗菌薬治療を行う際には、耳だれや鼻汁を採取して細菌学的検査を行い、原因菌を特定します。急性外耳炎、ほかのタイプの中耳炎との鑑別や、炎症が内耳に及んで内耳炎を起こしていないかの診断も行われます。乳突洞炎、乳様突起炎の合併の有無を調べるために、CT検査を行うこともあります。
治療
軽症の場合は上気道の炎症の治療を行い、痛みが強い場合には鎮痛薬を使用します。
軽症から中等症の場合は、原因菌を特定したのちに抗菌薬を用います。重症例にも抗菌薬を用いますが、鼓膜にうみがたまっている場合には鼓膜を切開し、なかにたまったうみを排出します(排膿)。排膿は、鼓膜に数㎜の穴を開けて行います。穴は通常、数日で塞がるので心配はいりません。排膿によって、耳痛や発熱は治まります。
抗菌薬の用法・用量は患者さんの年齢、症状の強さ、鼓膜や中耳の状態によって決められます。多くは1~2週間で改善が見込めます。
セルフケア
予防
乳幼児がかぜやインフルエンザなどで鼻汁、鼻閉がみられるときには、できるだけ鼻をかませる、拭き取る、吸引器などで吸い取るようにして、鼻腔内に鼻汁をためないようにします。成人の場合も同じで、鼻汁はこまめにかむようにします。日ごろから栄養バランスや睡眠、休養に留意し、かぜをひかないように気をつけることも大切です。
監修
耳鼻咽喉科日本橋大河原クリニック 院長
大河原大次
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