伝染性膿痂疹(とびひ)でんせんせいのうかしん・とびひ
最終編集日:2022/5/11
概要
伝染性膿痂疹は乳幼児に多い皮膚の病気です。虫刺されや湿疹などをかきこわした傷に細菌が感染し、発症します。かきこわした傷を触った手を介して全身に広がる様子が、火の粉が飛び火する様子に似ていることから、一般的に「とびひ」と呼ばれています。原因となる菌は、おもに黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌です。水ぶくれができるタイプの水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)と、厚いかさぶたができるタイプの痂疲性膿痂疹(かひせいのうかしん)の2種類があります。
原因
湿疹やあせも(汗疹)、虫刺されなどでかゆみを生じた箇所をかきこわして傷になったり、皮膚のバリア機能が低下した箇所(乾燥肌、アトピー性皮膚炎など)に黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌などの細菌が感染したりして発症します。黄色ブドウ球菌は人の皮膚表面などにいる常在菌です。
症状
水ぶくれができるタイプの水疱性膿痂疹と厚いかさぶたができるタイプの痂疲性膿痂疹の2種類があります。まれに発熱やリンパ節の腫れ、のどの痛みなどの症状が出ることもあります。
夏季を中心に赤ちゃんや子どもによくみられ、感染力が強いため、幼稚園や保育園などで集団発生することが多いのも特徴です。
●水疱性膿痂疹
赤みやかゆみを伴う水ぶくれが破れて、ただれが起こります。
●痂疲性膿痂疹
赤みから始まり、膿疱(うみのたまった水ぶくれ)ができ、それが破れ、ただれて厚いかさぶたができます。
検査・診断
診断は問診と視診で行います。治りが遅い場合は、細菌の種類を培養検査で調べます。必要に応じて血液検査で炎症の程度や連鎖球菌に対する抗体の上昇の有無も調べます。
治療
原因となる細菌を抑えるため、おもに抗生物質(抗菌薬)の飲み薬や塗り薬を使用します。かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬の飲み薬も併用します。
セルフケア
予防
伝染性膿痂疹は、患部を触った手を介してからだのあちらこちらに広がります。ほかの部位に広がったり、他者にうつしたりするのを防ぐため、できるだけ早く受診することが大切です。
・患部をかいたり、いじったりしない。
・患部を傷つけることがないように爪を短く切っておく。
・プールに入ることで、症状が悪化したり、他者にうつしたりする可能性があるため、完治するまではプールに入ることを控える。
・細菌を減らすために皮膚を清潔に保つ。
・入浴は控えてシャワーにする。
・患部はこすらず、刺激の少ない石けんをよく泡立てて、泡でていねいに洗い、シャワーでしっかり洗い流す。
・タオルや衣類からうつる可能性もあるため、家族や友人との共用は控える。洗濯は一緒にしてもうつらない。
・皮膚のバリア機能を補強するため、ふだんから保湿剤をしっかり塗る。
・鼻の穴やそのまわりはできるだけ触らないようにする。
監修
関東中央病院 皮膚科 部長
鑑慎司
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