おむつかぶれ
おむつかぶれ

最終編集日:2022/3/31

概要

おむつかぶれとは、おむつを長時間使用することによるおむつ自体の刺激や蒸れ、尿や便との接触、拭くときの強い摩擦、入浴が長期間できないことなどにより起こる皮膚炎をいいます。

肛門や外陰部の周辺、下腹部、太ももの付け根などに赤い発疹やただれ、かゆみが起きます。

乳幼児だけでなく、寝たきりの患者さんや高齢者、被介護者などでおむつを使用している人にみられる皮膚炎です。


原因

おむつを長時間使用していると、おむつかぶれを発症しやすくなります。

おむつのなかが高温多湿の環境になり、通気性が悪い状態で蒸れが生じます。蒸れてふやけた皮膚はとてもデリケートでダメージを受けやすいため、そこにおむつ自体(素材)の摩擦やおしり拭きが強い刺激になることがあります。

尿に含まれるアンモニアは時間が経つとアルカリ性になり、皮膚のpH(水素イオン濃度)値も上昇していきます。さらに便には大腸菌が含まれており、下痢になるとアルカリ性の消化酵素も多量に混ざり、皮膚にとって強い刺激となります。そうした皮膚や粘膜に受けたダメージが発疹やただれ、かゆみといった皮膚炎の症状をひき起こすのです。入浴ができないと清潔が保てず、ますます皮膚炎を起こしやすくなります。

なお、おむつの内部は高温多湿の環境に加え尿や便の付着もあり、大腸菌などの細菌や真菌のカンジダが増殖しやすくなっています。そのため、細菌や真菌による皮膚感染症が同時に起こる場合があります。

また、高齢者の場合は加齢による肌の変化もあり、角質層の構造が乱れて肌のバリア機能が低下しがちになっているため、ダメージを受けやすいという一因も考えられます。


症状

おむつかぶれは肛門や外陰部の周辺、下腹部、太ももの付け根などおむつが接する部分に現れます。具体的な症状には次のようなものがあります。

・炎症が起きて皮膚が赤くなる(紅斑)

・プツプツと赤い発疹がみられる(丘疹)

・炎症を起こしてカサカサになる

・ジクジクと赤くただれて皮膚がむける(びらん)

・かゆみや、ヒリヒリとした痛みが生じる など


検査・診断

おむつかぶれは、患部の発疹やただれなどの状態から、視診と問診によって診断が可能です。白癬菌やカンジダなどによる皮膚真菌症が疑われる場合は、患部表面の皮膚を少し採取し、真菌の有無を調べる顕微鏡検査を行うことがあります。

治療

おむつかぶれの治療は、こまめにおむつを交換し、こすらないことが重要です。おむつ交換時は皮膚を強くこすらず、ぬるま湯につけたやわらかい布やおしり拭きシートで押さえるように拭き、入浴の際にはよく泡立てた石鹸でやさしく洗い、ぬるま湯でしっかり流すようにして、皮膚を清潔に保ちましょう。

治療薬は、皮膚用の保湿剤と軟膏が処方されます。白色ワセリンや亜鉛華軟膏は皮膚に保護膜をつくります。亜鉛華軟膏を拭きとる際は、オリーブ油などの油を使うと拭きとるのが容易になります。炎症を抑えるためにステロイドの塗り薬が処方されることもあります。 ただしステロイドの塗り薬は細菌や真菌の感染症を悪化させることがあるため、とくに注意が必要です。細菌感染がある場合は、抗生物質(抗菌薬)の塗り薬を、真菌感染がある場合は抗真菌薬の塗り薬が処方されます。


セルフケア

予防

まずは、日頃からおむつのなかを清潔に保つことが大切です。

排泄後は早めにおむつを交換し、皮膚を拭く際にはゴシゴシと強くこすらないようにしましょう。おしりが乾いてからおむつを履かせるようにしましょう。ワセリンなどの保湿剤を塗って、肌を保護することも有効です。おむつはサイズのあった、通気性のよいものを選びましょう。

また、高齢者の肌は加齢や褥瘡(じょくそう:床ずれ)などによりバリア機能が低下しています。古いパッドを交換する際に強くパッドを引き抜くと、摩擦が生じて皮膚にダメージを与えてしまいますので、おむつの交換時はその点にも注意すると皮膚への負担を減らすことができます。


監修

関東中央病院 皮膚科 部長

鑑慎司

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