あせものより
あせものより

最終編集日:2023/3/23

概要

あせも(汗疹)は汗を大量にかいたときに、汗腺のひとつであるエクリン腺が詰まって発症しますが、あせものより(乳児多発性汗腺膿瘍)は、このエクリン腺に細菌、おもに黄色ブドウ球菌が感染して発症します。

新生児や乳幼児の顔面、頭部、背中、臀部などに好発します。


原因

エクリン腺に黄色ブドウ球菌などの細菌が感染して起こります。黄色ブドウ球菌は皮膚の常在菌のひとつです。

症状

顔、頭、背中、臀部など、あせもが出ていた部分に2~3㎜大から2cm大くらいのしこりができ、周囲の皮膚は赤くなり、痛みを訴えます。しこりは、徐々にぶよぶよと軟らかくなり、やがて皮膚が破れてうみが出ます。発熱やリンパ節の腫れを伴うこともあります。頭部にできた場合、患部が大きく盛り上がることが多く、痛みを強く訴えます。病変の多くはあとを残さずに完治しますが、感染が深く広がると、瘢痕(はんこん)が残ることもあります。

新生児や乳児では症状を訴えられず、夜泣き、不機嫌などで痛みやつらさを表すことがあるため、注意が必要です。

治療

視診で診断できます。初診時にうみの培養検査をしておくと、処方した薬剤が無効だった場合、次の治療を選ぶうえで参考になります。

セルフケア

療養中

第一選択として、セフェム系抗菌薬の塗り薬や内服薬が用いられます。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染の場合は、ホスホマイシンの内服薬を使用することもあります。

頭部など、膿瘍(のうよう)が大きい場合は、切開して排膿し、症状を和らげることもあります。

予防

できるだけあせもにならないようにします。エアコンを上手に調節して汗をかきにくい環境にし、汗を大量にかいた後や運動をした後には、シャワーを浴びて汗を流し、衣類を交換して乾燥と清潔を保ちます。あせもはかきむしらないよう注意し、爪を短くして皮膚を傷つけないようにすることも大切です。

監修

関東中央病院 皮膚科 部長

鑑慎司

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