更年期障害は気づくまでの壁が9割!

最終編集日:2022/7/15

更年期障害は、患者さんがそれに気づくかどうか、また医師が気づいてそう診断できるかどうかが壁の9割といってよいと思います。その理由として、治療自体は比較的シンプルで、当科のような専門の診療科も特別な治療をしているわけではないからです。


●社会的、精神的な変化も症状に影響

更年期障害の診断は、ある症状に対して想定される病気の可能性を1つずつ除外していく除外診断ですが、この診断は非常に重要です。

症状が起こる要因は、閉経の前後約5年ずつの期間に卵巣の機能が衰え、ホルモンの分泌が減る、ということがわかりやすいものです。しかし加齢の影響も大きく、症状に現れるまでには社会的・精神的な要因も影響します。また、個人差もあります。というのも、この時期は女性が管理職になったり、子どもが巣立つなどの環境の変化と重なり、これらも影響を及ぼします。症状に悩むほとんどの人はさまざまな病気の可能性を考え、いくつかの病院を回るものの、大半は検査に異常がないことが多いのです。そのときこそ、更年期障害の可能性を検討することが大事です。

また、ホルモンの分泌が減ることで、無症状なまま進行する他の病気(骨粗しょう症やメタボリックシンドロームなど)の危険性についても、ひと言忠告しておければと思います。


●治療の柱はHRTと漢方

更年期障害の治療については、HRT(ホルモン補充療法)や漢方を使ったものが主流です。抗うつ剤や認知行動療法を行う場合もありますが、基本的に、HRTや漢方の治療の割合がほとんどです。


●患者さんの周りや社会の理解が重要

 治療にあたって感じることは、患者さんの身の周りの人の理解や社会全体での認知の問題です。現状では、さまざまな場面で軽んじられるような傾向であることを認めざるを得ないため、更年期にはこういうつらさがあるという理解がさらに広まることで、おそらく患者さんの症状の半分くらいは軽減するのではないかと思っています。

監修

北里大学北里研究所病院 婦人科 更年期・悪性腫瘍外来

石谷健

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