夏に気になる…頭皮のイヤな臭いの予防とケア
最終編集日:2025/7/14
ジメジメと蒸し暑い夏がやってくると気になるのは汗ですが、「頭皮のイヤな臭い」に悩む人も少なくありません。気温も湿度も高くなることで、頭皮には皮脂や汗がたまりやすくなり、自身が不快な臭いを発していないか、不安になることもあります。
気になる頭皮の臭いの原因を知り、正しいセルフケアで快適な夏を過ごしましょう。
●臭いの原因のひとつは皮膚の常在菌
私たちの肌や頭皮の表面には、皮脂による薄い膜がベールのように覆い、外部の刺激から皮膚を守っています。しかしこの皮脂は、紫外線や空気に触れることで酸化したり、皮脂や汗をエサにする常在菌によって分解されたりすることで、独特の臭いを発生させます。これが、頭皮のイヤな臭いの正体です。
皮脂の分泌は、ホルモンバランスにも左右されます。たとえば男性は、男性ホルモンの影響で女性より皮脂量が多く、臭いの原因を抱えやすい傾向があります。一方、女性は更年期を迎えると女性ホルモンが減少し、以前より汗をかきやすくなるため、臭いが気になることもあるでしょう。また、赤ちゃんや成長期の子どもも、ホルモンの働きで皮脂の分泌が増え、臭いの原因となることがあります。つまり、年齢や性別にかかわらず、誰でも頭皮の臭いに悩む可能性があるといえるのです。
●正しいシャンプーが大切
頭皮の臭い対策には、清潔を保つことが基本。シャンプーは、ただ髪や頭皮を洗うのではなく、正しく洗うことが大切です。
次のポイントを意識して、頭皮をケアしましょう。
・熱すぎるシャワーに注意
シャンプー前にブラッシングをし、まずはぬるま湯で頭皮と髪をしっかり予洗いします。お湯の温度が高すぎると頭皮の乾燥を招きやすいため、熱すぎるシャワーに注意を。
・指の腹でやさしく丁寧に
シャンプーは手のひらでよく泡立ててから、指の腹でやさしくマッサージするように頭皮を洗いましょう。耳の後ろや後頭部など、洗い残しやすい部分はより丁寧に洗います。すすぎ残しは皮膚炎や湿疹の原因にもなるので、十分に洗い流すことも大切です。
・ドライヤーを忘れずに
入浴後、髪を濡れたまま置いておくと、頭皮に雑菌が繁殖しやすくなります。髪の毛が短い人でも自然乾燥はNG。ドライヤーでしっかり乾かしましょう。ただし、熱風は頭皮への刺激になるため、冷風モードを取り入れる、頭皮にドライヤーを近づけすぎないといった工夫を。
●生活リズムを整える
脂っこい食事や塩分のとりすぎは、皮脂の分泌にも影響を与えます。栄養バランスのとれた食事を心がけ、肉食に偏りすぎないように注意しましょう。旬の夏野菜や魚介類、植物性のたんぱく質を積極的に取り入れるのもおすすめです。
また、睡眠不足はホルモンバランスの乱れを招きます。寝苦しい季節ですが、空調を上手に利用するなど、睡眠環境を整えることが大切です。夜更かしや昼夜逆転の生活にも注意しましょう。
●「臭い」に病気が隠れていることも
一方、臭いの原因が、病気によるものというケースもあります。次のような症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診するようおすすめします。
皮脂の分泌が盛んな部位にできる、赤みやかゆみを伴う湿疹のひとつです。自然に治ることは難しいので、ベトベトした脂っぽい湿疹や頭皮のフケが気になるときは、早めに皮膚科を受診しましょう。
・粉瘤(ふんりゅう)
皮脂や垢といった老廃物が、皮膚の内側にできた袋の中にたまってできる良性のしこりです。触れたり押したりすると強い悪臭を放つことも。皮膚の膨らみや赤み、痛みがある場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
そのほか、「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」や「多汗症」など、異常な発汗を伴う疾患もあります。気になる症状などがあれば、早めに専門医に相談することが必要です。
監修
池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 副院長
張本敦子