重症度別!熱中症の対処法

最終編集日:2025/7/7

昨年、熱中症による救急患者数と死者数がともに過去最高を記録しました。今年の夏も厳しい暑さが予想されており、熱中症への注意が叫ばれています。

熱中症とは、高温多湿の環境下で体温の調整機能などが正常に働かなくなった状態です。体内に熱がこもって体温が上昇することで、めまいや失神などを起こし、最悪の場合は死に至ることもあります。年齢や性別を問わず、誰でも熱中症になる可能性がありますが、予防することは可能です。正しい知識と対策法を身につけ、暑さに備えましょう。


●重症度別の症状と対処法は?

熱中症は重症度により次のような症状が現れ、数字が大きくなるほどに重くなります。また、重症度によって対応が変わります。


【重症度レベル1】

めまい、立ちくらみ、失神、筋肉痛、筋肉のけいれん、手足のしびれ、こむらがえり

意識がしっかりしており、現場で対処可能

対処法:

水分と塩分を補給し、涼しい場所へ移動しましょう。室内の場合はエアコンをつけ、適切な温度に下げます。症状が回復した場合は、体調の変化に注意しながら様子をみましょう。

改善が見られない、気がかりなことがあれば医療機関を受診してください(=重症度レベル2)。


【重症度レベル2】

1の症状に加え、頭痛、吐き気、嘔吐、だるさ、力が入らない

意識がはっきりしておらず、医療機関への受診が必要

対処法:

レベル1の対処法に加え、衣類をゆるめ、積極的にからだを冷やしましょう。頭のほかに、首、わきの下(無理ならば腕)、太ももの付け根(前側)など、大きな血管が通るところを保冷剤などで冷やします。

すみやかに受診し、適切な治療を受けましょう。


【重症度レベル3】

2の症状に加え、全身のけいれん、まっすぐ走れない、歩けない、からだに触ると熱い

入院が必要

対処法:

迷わず救急車を呼んで医療機関を受診してください。

救急車を待つ間に、レベル1,2の対処法を行います。ただし、意識がなく自力で飲めない人に水分を飲ませてはいけません。


【重症度レベル4】※2024年に新しい重症度分類として追加されました。医師が判断します。

昏睡、高体温

集中治療室での治療、体内冷却が必要

対処法:

迷わず救急車を呼んで医療機関を受診してください。

救急車を待つ間に、レベル1,2の対処法を行います。ただし、意識がなく自力で飲めない人に水分を飲ませてはいけません。



●熱中症の情報を積極的に取り入れて対策を!

2021年から運用が始まった「熱中症警戒情報」(通称「熱中症警戒アラート」)は、危険な暑さが予測された際に、暑さへの「気付き」を促し警戒を呼びかけるものです。

2024年4月からはこれに加えて、「熱中症特別警戒情報」(通称「熱中症特別警戒アラート」)の運用が開始されました。これは、気温が特に著しく高くなり、熱中症による重大な健康被害が予測される場合に、前日または当日に発表されます。


また、暑さをしのげる場所を提供する「クーリングシェルター(指定暑熱避難施設)」が拡大しています。「熱中症特別警戒アラート」が発令される際など、暑さを避けて涼める場所として開放されているため、お住まいの自治体の情報を事前に調べておくとよいでしょう。 


さらに、2025年6月から職場での熱中症対策が義務化されました。働く人を熱中症の労働災害から守るため、事業者(雇い主)に対し環境の見直しと改善が求められます。


自分自身が熱中症にならないよう注意することはもちろん、周囲の人にも気を配ることが大切です。特に、子どもや高齢者など暑さの影響を受けやすい人には、水分補給やエアコンの使用を促すなど、こまめに様子を観察することで、熱中症による健康被害を防ぐことにつながります。


Xで送る
LINEで送る
Facebookで送る
URLをコピー

監修

臨床教育開発推進機構 理事

三宅康史