女性に多い甲状腺の病気と症状
最終編集日:2025/3/24
甲状腺は、のどぼとけの下あたりにある小さな臓器で、甲状腺ホルモンをつくって、からだの臓器や細胞の働きを活発にさせる働きを担っています。甲状腺の病気として代表的なのは「バセドウ病」「橋本病(慢性甲状腺炎)」「甲状腺機能低下症」で、女性に多く見られるのが特徴です。更年期障害と似た症状があるため、甲状腺の病気だと気づかずに放置してしまう人も少なくありません。また、長く放置すると症状が悪化することもありますので、気になる症状があるときは、早めに医療機関を受診することが大切です。
●バセドウ病
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
主な症状として、甲状腺の腫れ、動悸・息切れ、急に暑がりになってよく汗をかく、疲れやすくなる、イライラするなどがあげられます。からだが常に運動中と同じ状態になるため、食べていても体重が減少します。また、抜け毛や月経不順がみられることもあります。バセドウ病かどうかは、血液検査と超音波検査でわかります。
バセドウ病の治療は、甲状腺ホルモンの分泌を抑える作用がある薬の服用から始めるのが一般的です。なお、薬で症状が改善したからと勝手に薬を止めると、症状がぶり返すことがあるので、医師の指示があるまで服用し続けることが大切です。薬を服用していない場合でも、定期的な診察や血液検査を受けながら経過を見守る必要があります。
薬物療法で効果が得られない、副作用がある場合は、放射線ヨウ素の入った薬を飲んで甲状腺の細胞を小さくするアイソトープ治療、そして甲状腺が大きくなっていたり腫瘍が合併していたりするときは甲状腺を取り除く手術が検討されます。
●橋本病
橋本病は、甲状腺に慢性の炎症が起こる病気です。
症状は、甲状腺の腫れ、意欲の低下、むくみ、便秘、こむらがえり、肩こり、頭痛とともに、体重の増加などがあげられます。症状は人によってそれぞれで、症状がはっきりしない場合もあります。
橋本病の診断には、血液検査と画像検査が行われます。橋本病と診断されても、甲状腺の機能に異常がなく、大きな症状が見られない場合は経過観察となります。橋本病は、甲状腺機能の働きが悪くなって代謝が低下している状態なので、通常の食事量を食べていると、エネルギーオーバーになります。症状に配慮しながら、栄養バランスのとれた食事を腹八分目にとることが大切です。また、医師からヨウ素(ヨード)の摂取制限の指示がある場合もあります。倦怠感などの症状が強い場合は、あまりからだに負担がかからないよう注意が必要です。
なお、甲状腺ホルモンの値が基準値であっても症状が強く現れる場合や、甲状腺の機能が低下している場合は、甲状腺ホルモンを補う薬物療法が検討されます。
●甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの不足からくる病気です。
甲状腺ホルモンは代謝の維持に不可欠な働きをしていますが、甲状腺機能が低下するとホルモン分泌が不足し、全身にさまざまな不調をきたします。
症状は、疲れやすさ、無気力、記憶力低下、眠気、動作緩慢、寒がり、むくみ、体重増加、徐脈、便秘、嗄声(させい:声がれ)などが現れます。女性では月経不順、不眠などの症状がみられることもあります。
一過性で症状が軽度の場合、基本的に治療は行われません。一方、永続性の甲状腺機能低下症では、甲状腺の機能正常化を目的に長期間の服薬が必要になります。
監修
保健同人フロンティアメディカルチーム
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