高血圧と慢性腎臓病(CKD)の密接な関係とは
最終編集日:2025/2/24
血圧と腎臓は密接な関係があり、どちらかに異常を来すと互いに悪影響を及ぼします。
腎機能は、誰でも加齢とともに低下していきますが、さまざまな病気が原因で腎臓の働きが悪くなることもあります。慢性腎臓病(CKD)は慢性的に腎機能が低下した状態で、新たな国民病ともいわれています。CKDになると高血圧などの合併症を発症しやすく、逆に高血圧になるとCKDを悪化させることがわかっています。
高血圧には、原因がはっきりしない本態性高血圧と、病気など原因が特定できる二次性高血圧がありますが、二次性高血圧の原因の多くは腎臓と副腎(腎臓の上に位置する臓器で、生命維持に不可欠なホルモンを分泌している)が関係しているといわれています。
●腎機能低下と高血圧の悪循環
腎機能が低下すると、なぜ高血圧を引き起こすのでしょう。それは腎臓が血圧のコントロールをサポートする働きを担っているからです。
腎臓は、血液中の余分な塩分や水分を体外に尿として排泄しています。しかし、この機能が低下してうまく働かないと、血液中に排泄されなかった塩分と水分があふれて血液量が増加し、血圧が高くなってしまうのです。
また、腎臓は血圧を上げるホルモンに必要なレニンという酵素を分泌し、血圧を管理していますが、腎機能が低下すると血圧管理もうまくいかなくなり、高血圧につながりやすくなります。
高血圧になると、腎臓にも負担がかかります。腎臓は、全身を巡ってきた血液を毛細血管のかたまりである糸球体でろ過し、きれいになった血液を全身に戻しています。高血圧が進むと動脈硬化を起こして血管が細くなり、腎臓への血流が低下するため、ろ過できなくなり、その結果、腎機能の働きをさらに低下させてしまうのです。
CKDは、高血圧で糸球体の血管が硬くなる腎硬化症、高血糖が原因で糸球体が傷ついてろ過機能を低下させてしまう糖尿病性腎症などの病気が原因で起こることもあります。「沈黙の臓器」といわれる腎臓は、機能が低下しても初期のうちは自覚症状がほとんど現れません。そのまま放置していると、腎機能が著しく低下した腎不全になって人工透析や腎移植が必要になったり、動脈硬化が進行して脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる病気を引き起こしたりします。そうならないためにも、日頃の生活の中で血圧や血糖を上手にコントロールすることが大切です。
●CKDと高血圧を防ぐには生活習慣の改善から
腎機能は、誰でも加齢とともに低下していきます。しかし、CKDになると機能低下速度が加速します。特に、高血圧、高血糖、肥満の人はCKDが悪化しやすいので、食事と運動を見直すことが重要です。
食事では、減塩を心がけましょう。塩分のとりすぎは高血圧を招くほか、尿量を増やして排泄しようと働くため腎臓に負担がかかります。塩やしょうゆ、ソースなどの調味料を控える、みそ汁は具だくさんにして汁量を減らす、塩の代わりに香辛料やかんきつ類を活用するなど、減塩の工夫をしましょう。
また、糖分のとりすぎは、肥満や高血糖から糖尿病を招くので要注意。食事は、よく噛んで腹八分目を心がけましょう。
運動は、肥満や高血圧、糖尿病予防に効果が期待できるウォーキングなどの有酸素運動がおすすめです。無理のない範囲で、運動を継続することが大切です。
監修
日本大学 医学部 内科学系 腎臓高血圧内分泌内科学分野 教授
阿部雅紀
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