腎硬化症

じんこうかしょう

最終編集日:2022/4/7

概要

高血圧が原因となり、腎臓につながる血管が動脈硬化を起こし腎臓に障害をもたらす病気です。動脈硬化で血管が狭くなると、血液のろ過機能を担う糸球体へ十分な血液が供給されず血流が悪くなり、腎臓が萎縮して硬くなるため、高血圧性腎硬化症、高血圧腎症とも呼ばれています。

こうなると腎臓の働きは低下し、進行すると腎不全となり、透析治療が必要になります。最新の情報(2019年末発表)では、国内での新規透析導入の原因となる病気の第2位です。



原因

血圧が高くなると血管、とくに動脈に負担がかかります。高血圧が長くつづくと、血管が弾力性を失い、血管の内腔が狭くなり動脈硬化をひき起こします。

動脈硬化によって腎臓への血流が悪くなると、腎臓の細胞が線維化し、また血液をろ過する役割をもつ糸球体の細動脈硬化が進行し、腎機能が低下して、やがて慢性腎不全をひき起こします。


症状

ほかの腎疾患と異なりたんぱく尿が少ない点が特徴ですが、自覚症状はほとんどないまま進行します。

病態の進行速度によって大きく2つに分けられます。

●良性腎硬化症

病気の進行が遅く早期に治療を始めた場合、予後は悪くありません。

体質、遺伝、環境、加齢によって発症する本態性高血圧が、腎臓の血管に動脈硬化をひき起こします。腎臓の機能低下は気づきにくく、徐々に腎臓の硬化が進行します。

●悪性腎硬化症

腎血管性高血圧(腎動脈の狭窄による高血圧)などの、特定の原因がある二次性高血圧の経過中に急速に悪化し、腎障害だけでなく心不全や脳血管障害など全身の症状をひき起こします。治療が遅れると死に至ることもあります。


検査・診断

本態性高血圧がある人が一般的な尿検査や血液検査を受けて、腎機能低下の兆候が認められた場合に、高血圧性腎症が疑われます。

●尿検査

良性腎硬化症の場合、軽度の尿たんぱくが認められるか、もしくは尿たんぱくが陰性のこともある。尿たんぱく量が多い場合は糸球体腎炎など別の疾患の併発が疑われる。

●血液検査

クレアチニンや尿素窒素の濃度の上昇、eGFR(推算糸球体ろ過値)などで、腎機能の低下を判断する。

●画像検査

エコー検査やCT検査により、腎臓の縮小程度を確認する。

●腎生検

確定診断には、腎臓を細い針で刺して、組織の一部を取って病理評価をする『腎生検』を行う必要があるが、高齢者の場合、またすでに腎臓が萎縮している場合は、合併症の危険性が高いためあまり行われない。


高血圧性腎症によって慢性腎不全へと進行した場合、腎臓以外の部位の動脈硬化も進行していると考えられ、命に関わる心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなります。


治療

良性腎硬化症の治療は、高血圧の治療が中心となり、厳格に管理する必要があります。治療目標は血圧130/80mmHg未満です。

●薬による治療

高血圧の治療薬は通常、ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)やACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)など腎保護作用のあるものを使用。降圧が十分ではない場合や合併症がある場合は、カルシウム拮抗薬・β遮断薬・サイアザイド系利尿薬などを追加することがある。

●食事療法

減塩食(1日6g以下)、むくみ(浮腫)が強い場合は水分制限などを行う。

●運動療法

過度の運動は腎臓に負担をかけることがあるため、主治医の指導のもとで適度な有酸素運動などを取り入れる。


悪性腎硬化症の場合、急速に症状が悪化し、心不全や脳血管障害をもたらす危険が高いため、入院治療により、厳密で慎重な全身管理、血圧管理が求められます。


セルフケア

予防

良性の腎硬化症はゆっくりと進行するため、気がつきにくい病気です。腎機能の低下の兆候があれば、早めに生活習慣の改善に取り組み、血圧上昇の要因を取り除き、定期的に血液検査を受けることが、腎硬化に進行させないためには大切です。

・食事制限や運動などを組み合わせ、適切な体型・体重を保つ

・高血圧は症状がほとんどないため、処方された薬を途中でやめてしまうケースが多いが、腎機能の維持のためにも継続する

・喫煙者は禁煙する

・食事では塩分の摂取を1日6g以下に留め、塩分の排出を促すためにカリウムやマグネシウムを多く含むものを食べる



監修

しみず巴クリニック 腎臓内科

吉田顕子

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