がんの診断

最終編集日:2022/1/28

概要

がんをみつけるための検査は近年目覚ましい発展・進化を遂げ、以前なら発見できなかった数mmの小さながんもみつけることができるようになってきました。
がんの疑いがあるときに医療機関を訪ねると、最初に担当医による問診と診察が行われます。からだの状態や病状のほかに、過去にかかった病気、現在かかっているほかの病気について、喫煙や飲酒、食生活、職業など生活習慣にかかわることについて聞かれます。加えて家族や血縁者の既往歴についても聞かれます。
その後の検査はがんの種類や発症部位で異なりますが、大きく分けて、スクリーニング検査※1、画像検査、血液検査、病理検査が行われ、診断を確定します。
がんの検査は最初の診断時だけでなく、治療中や治療後にも行われます。検査の内容や回数は、がんの種類や患者さんの病状によってさまざまです。


※1 多くの健康な人から、がんの疑いのある人を拾い上げる検査です。便潜血検査などがその範疇(はんちゅう)に入ります。

スクリーニング検査

スクリーニング検査は、がんの症状はないが一定のリスクをもつ無症状の患者さんに行われる簡便で低侵襲な(負担の少ない)検査で、早期発見のために行われます。がんを早期に発見することは、治療をめざすことはもちろんですが、治療の長期化や重篤な状態になったり、死亡したりするケースを回避することにつながります。
最初に行う医師による問診も、スクリーニング検査のひとつといえます。
問診ではからだの状態や病状のほかに、過去の病歴、現在の病気について、そして喫煙や飲酒、食生活、職業など生活習慣にかかわることについても聞かれます。加えて家族や血縁者の既往歴についても聞かれます。
スクリーニング検査には、問診のほかに、便潜血検査、ペプシノゲン検査などがあります。血液検査やたんの検査、単純X線検査などもスクリーニング検査として行われることがあります。

画像検査

画像検査は、がんの有無を調べる際にも使われますが、基本的には画像によってがんのある場所や大きさ、広がり、性質などを調べる検査です。
検査結果は、治療方針を立てたり、今後の病状予測を行ったりするために使われます。今後の適切な治療を行っていくうえで重要な検査です。
画像検査には、バリウム検査、内視鏡検査、超音波(エコー)検査、X線検査、マンモグラフィ、乳房超音波 (乳房エコー)検査、CTスキャン (コンピュータ断層撮影)検査、MRI (核磁気共鳴画像)検査、PET検査などがあります。

血液検査

一般の血液検査とともに、がんでは患者の血液や尿を使って腫瘍マーカー検査が行われます。
腫瘍マーカーとは、がんによってつくられる特徴的なたんぱく質などの物質のことです。がん細胞の数や、がん細胞がつくる物質の量が多くなると、腫瘍マーカーの数値が高くなります。ただ、既往症や飲酒や喫煙などの生活習慣、服用している薬剤などの影響で、がんでなくても腫瘍マーカーが高い数値になることがあります。反対に、がんでも腫瘍マーカー値が高くならないこともあります。
腫瘍マーカーの数値だけでは、がんの有無、部位、進行状況などを確定することはできません。画像検査など、そのほかの検査結果と照合して判断することになります。
腫瘍マーカー検査には、AFP(アルファ・フェトプロテイン)、CEA(がん胎児性抗原)、CA19-9、CA125、PSA(前立腺特異抗原)などがあります。現時点(2021年10月)では、PSAのみが早期発見に有効であり、そのほかの腫瘍マーカーは、治療の判断などに用いられる補助的な役割を担うことが多いようです。

病理検査

病理検査は、生検などでからだの一部分の組織を採取し、細胞や病変の一部を病理専門医が顕微鏡で観察する検査です。
がんの確定診断では、ほとんどのケースで病理検査が行われます。これによって、がんの有無、良性か悪性かなど、がんの種類、進行度などがわかるため、診断を確定するためには欠かせない検査です。
生検だけでなく、手術時に組織を採取しその後の治療方針の決定に利用することもあります。また手術中に組織を採取して術前にはわからなかったがんの広がりやリンパ節転移の有無などを判断し、15〜20分程度での迅速診断を行い手術に役立てることもあります。
こうした病理検査による診断を病理診断といい、病理専門医によって行われます。
病理検査には、細胞診検査、組織診検査などがあります。

監修

寺下医学事務所医学博士

寺下謙三

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